kokokaramakuruの日記

野球 金魚 競輪少々 思いついたことをビビりながら書くブログ

興奮した一番

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左 大乃国(当時横綱)  右 放駒親方(元大関 魁傑)

 

久しぶりの再放送に見入った。

前回も興奮したのだが・・・

 

これは、

1988年11月場所の千秋楽の一番 

昭和最後の一番にもなった名勝負のドキュメント番組

 

当時の私は相撲ファンであった。

この一番も、よ~く覚えている。

 

当時無敵の千代の富士が53連勝のぶっちぎりで、

相手は不調というか大きいけどパッとしない大乃国なだけに

『また完全優勝で54連勝だろう。』

という一番で

ナント大番狂わせで大乃国が勝ったという取り組みである。

 

そりゃもう、当時の千代の富士ったら左の上手を取ったら、

もちろんそこには色々な技があるんだろうけども、

こっちからみたら左腕一本でブン投げていた。

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全盛期の千代の富士


鋼鉄のようなカラダであった。

これがまたカッコいいカラダでありまして・・・

 

なにもそんなに持ち上げてから投げおろさなくてもいいでしょうが、

というくらいに高く持ち上げて叩きつけていたようなイメージもある。

(寺尾がやられていたような・・)

 

一方で、大乃国は見るからに「いい人そう」な雰囲気そのままで、

取り組みも「いい人」であった。

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見るからにいい人「大乃国」下に座っているのは朝潮(懐かしい)

板井によくやられていたイメージがあった。

記録をみたら8勝8敗であった。

板井に電車道を喰らった」という記事の見出しに、

「なにそれ?」と疑問を持った記憶がある。

要は、一気に押し出されたという意味であった。

 

横綱が平幕に喰らうのは不名誉なことであった。

もちろんヨケルのはもっと恥ずかしく、

「ドンッ!」と受け止めて、

相手に色々やらせておいてから、

じっくり押し出すというのが横綱相撲と言われるが、

それをやろうとしてやられちゃったということが多かった。

 

板井に押し出された後の大乃国の切ない表情はいまだによく覚えている。

ちょっと前にいた稀勢の里に近い感じかもしれない。

 

おっと、少年時代の記憶がよみがえりすぎて熱くなりすぎた。

 

・・・で、54連勝を阻止する一番の前夜に

親方に言われたセリフが冒頭のセリフである。

 

連勝を続けている千代の富士に対して、

大乃国は序盤に負けて勝戦線から離脱状態

 

世間も千代の富士の連勝濃厚ムード。

ここで54連勝で、

次の場所でまた完全優勝すれば双葉山の69連勝に届くという話題で持ちきり。

私もそれで双葉山を知ったくらいでありました。

 

・・と世間の蚊帳の外になっている前夜の部屋

 

「どうせ今のお前じゃ

 何をやっても勝てないんだから、

 せめてヒヤッとさせる場面くらい作ってこい」

 

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「それを言われて、飯ものどを通らないし」

その時を思い出しているシーン。

今となってはそのお人柄がとても素敵(笑)

 

さて、その一番のシーン

 

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お~!大乃国有利!

 

・・・と思いきや

 

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ワケわからんうちになぜか千代の富士がもろ差しになっとる

あちゃ~、これは千代の富士得意の左腕が炸裂するな~

 

と思った次の瞬間

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と本人も思ったらしい

 

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出た~必殺の左下手投げ~

いつもならこれでブン投げられるところであったが、

 

この日は

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両腕を抱えて引っ張り込む

番組の説明によれば、このカタチは実はこれまでずっと取り組んで来たものだったという。

 

「そんだけ立派な体格してんだから、ガバッと抱きかかえて引っ張り込めばいいんだ」と言われ続けてきたそうな・・・

 

脇が甘いんじゃなくて懐にあえて入れていたのか・・・

大乃国はワキが甘いからな~」などと、

当時の私はわかったように言っておりました(笑)

 

この引っ張り込みにより投げられなかった。

そして、

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千代の富士を抱え込んで寄る大乃国

この数秒は長く感じたな~

我慢するほうもすごかったし。

 

そして、

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となった大乃国

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めったにやらないのど輪

「のど輪」で勝負に出る

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この番組での大きなキーワードは、冒頭の親方のセリフである。

このセリフが大乃国集中力(勇気?)につながった。

 

それっぽくコーチング的にいうと、(とても失礼なのだが)

「結果(勝敗)を意識させないで、自分のやれることに集中させる」

効果があったのだと思う。

 

ただ、気をつけなければいけないのは

業務的な薄っぺらい関係で、

これをマネしてセリフだけ言っても絶対に効果はない。

それどころか恨まれる。逆効果になる可能性大。

中卒の入門からここまで親子以上の血の通った関係で来たからこそのセリフ。

 

この手の名言は素人は絶対にマネしてはいけない(笑)

 

だからシビレル。

 

さて・・・

 

実はこの番組で私が好きなのはこの後である

 

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勝っても笑顔一つない大乃国

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これまで連勝させてしまっている自分が不甲斐ないからいけないんだ。

「ホントはこの反対じゃなきゃいけないんだ」

 

横綱が相手の連勝を止めて騒がれてどうする。

横綱が勝って騒がれてどうする。

勝って褒められてどうする。

 

こういう感覚って相撲ならではというか、

支持されている要因の一つと思うのです。

この真面目さというか、相撲道への誠実さ

ノブレスオブリージュ(位高けりゃ務めは重し)

 

こういうのが私は好きなんです。

 

この

本命の責任を果たす姿勢といいますか・・・

 

 

 

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これが昭和最後の一番となった

 

この番組の構成がステキだったのは、

勝って大喜びではなく

「ホントはこれじゃダメなんです」

 

大乃国が言いつつも

 

それで締まって終わりじゃちょっとストイックすぎて見ている方も、

「あ~勝っても喜ばないなんて重いな~」と思うところを

 

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「まぁ、そうは言っても、昭和の最後を締めたのは俺だぞ!というのはありますけど ね 笑」

 

と、ステキな笑顔で終わるところでありました。

 

これを書きながら思う。

これ、30年前の話です。

 

この対戦相手の千代の富士はもはやおらず・・・

ちょっと話題に出した板井もなんだかワケわからん感じになって廃業のすえもう他界

 

そして大乃国は相撲が喜ばれるためならと話もうまく、

人柄から人気があり・・・

 

勝者ってなんだろうか

 

色々と思うもんですね

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E4%B9%83%E5%9B%BD%E5%BA%B7