8月28日
無性に虚無感を感じ、何か刺激を与えねばと自宅の書棚を探す。
私の書棚にはけっこう自己啓発本が多い・・・・(不安の現れか?)
古い格言集やら、『死に物狂いで頑張れ!さすれば道は開ける』といった熱血気合系、『ダメな自分でもいいじゃない、生きてるだけでOKョ』といった癒し系まで揃っている。
おそらく、その時々で自分に都合の良さそうなのを選んできた結果のレパートリーであろう。
もちろん、そういった本のおかげで自暴自棄になって最悪の事態を起こすことなく今の自分がある。
が、この夜の虚無感を満たせるものが見当たらない。
めったに自宅でアルコールは口にしないのだが、だいぶ前に買った缶チューハイを冷蔵庫に発見!迷いなく飲んでみる。
そして、何気なく手元にあった新聞をめくる・・・
ああっ!
そこには、高校の後輩の姿が!(後輩なんて言うのも失礼ですがお許しください)
彼は私の東海大相模高校時代の2学年後輩にあたります。
野球部と柔道部の寮生はともに同じ食堂で食事をしていたために交流がありました。 彼は九州出身で、中学1年の時からもう神奈川の東海大相模にスカウトされることが決まっているようなスーパースターでした。
彼が入学してしばらく経ったあと、その噂以上の実力に同級生たちは「何を食ったらあんなに強くなるんだ?」と言いながら、
「何が悔しいって、強い上にメチャクチャいい奴で礼儀正しいから文句が言えないのがさらにツライ」と言っていました。こんな風に言われる人は私は知りませんでした。
実際に接してみると実に人当たりの柔らかい人です。私だって大ファンです。
柔道部員に聞きますと、「とんでもなく自分に厳しく練習する」のだそうですが、柔道の場面以外で周囲にそのストイックさを撒き散らすような部分は一切ありません。
もちろん、愚痴を言うようなこともなく、写真撮影にだって、遊びの話だって気さくに応じてくれます。それこそ私が可愛がってる選手を紹介すると嫌な顔一つせず話をしてくれたこともあります。
そんな姿勢にとてつもない人間的スケールを感じていました。
金メダルの後、ケガからくる苦戦続きにも言い訳など一切ありませんでした。
私は彼のそんな姿に「僕の悩みは理解してもらえるものじゃありませんから」ということなんじゃないかと感じていた。
だから、私の目標の一つは『彼が愚痴を言う相手に値する人間になりたい』というものがあった。(そうだったの忘れてた!だからボケッ~としてたんだ)
彼は現在、指導者研修としてイギリスに留学しているという。
『最強の柔道家より、最高の柔道家を育てたい』という思いが記事に出ていた。
『あっちは、やってるぞ~!しっかりせんかい!』そんな喝をいただけました。
そんな事言ったら周囲からは笑われますが、
「心のライバル心」くらいは燃やしておきたい!そうじゃなきゃ、次に再会した時にコソコソしてしまいそうだ。
どんな自己啓発本よりも気合が入りました。
ありがたい!
私はへこんだ時には必ずと言っていいほど、予期せぬところから連絡をいただけたりして(大抵は教え子なんですが)また元気を出せている。
今回だって、『ホントに虫の知らせってあんのかな?』という思いである。
気持ちが前向きになったところで、
ふと・・・ 『ところで、缶チューハイに賞味期限ってあんのかな?』
と缶の底を見ると表示には『賞味期限09・06・17』の印刷が・・・・
あっ・・・・
まぁそんなのいいや!
『自分の賞味期限』が切れる方が
よっぽど危険だ!