母校が33年ぶりの夏の甲子園を決めていたちょうどそのころ・・・
この春、全日本選手権で準優勝した東海大の野球部員が2名、わざわざ熊取まで訪れていた。
来たのは私の教え子で大学で副主将も務める大野くん(4年 写真右)と、彼を兄貴と慕う景山拓也くん(3年 写真中央)であった。
実は景山くんには一度会っている(2010年1月25日ブログ参照)その時に、「待ってるぜ~!」 なんて言っていたら本当にやってきた。
『いったいどんな選手なんだい?人として付き合えるのかな?』そんな期待と不安で入り混じった感情で彼を迎えた。
さて、彼に「何を見ればいいの?」と尋ねると、「投げ方を見てください」という・・・
しかし、これといって欠点らしいものは・・・ハテ?
「何が問題なわけ?」と尋ねたら、
「カッコよく投げたいんですよ」と彼は堂々と答えた。
「へっ?何それ?ナンダこいつ?ふざけてんのか?」私はたまげた!
しかし、2日間、彼とやり取りしたことで彼の言っている本当の意味がなんとなく分かってきた。
私は今まで
「カッコ良さ追求」=チャラチャラ追求、軽い、流行に敏感、イヤな人
「まじめ」=泥臭い、重い、流行に鈍感、いい人
などと凝り固まった概念を持っていた。
だから「野球やるやつがカッコよさだと!このタワケが!」などとすぐ言いたくなる習性がある(汗)
しかし、彼が言いたかったのは「完璧を追求している」ということでそれを「カッコいい」と表現していたのだ。
だからその為に多くの意見を吸収したいんです!ということなのであった。
なんの事はない、超純粋 野球少年でした。
実際、ボールを投げたり、打ったり、これさえやらせておけば満足って感じで目をキラキラさせてました! 私、こういう選手大好きです。
考えてみれば、大学の練習がようやく休みになった貴重な時間である。普通なら、「せっかくの休みに野球なんかしたくないよ」ってとこである。
その時間をわざわざ新幹線でお金をかけて5時間かけてやってくる姿勢は中途半端でやれるわけはない。
しかも、今時の大学生だ、いくら先輩が「行くぞコイ」と言ったって断る口実なんていくらでも作れる。
今回やった内容は、スローイング指導に打撃指導、そしてU島トレーナー(写真左)によるFMSテストからみた個別トレーニング指導(写真)、I先生による骨調整など内容は濃かった。
成り行きで彼を囲んで議論になった。それは、
「僕はよく勘違いされたり、否定されます」、
「イチローみたいにカッコよくなりたいんです」 などと景山くんが面白いことを言ったからだ。
それは主張するというものではなく『僕はこう思っているんですがどうでしょうか?』というものでした。
つまり、主張を通すことが目的ではなく、『相手と交流したい』という必死の思いがビシビシと伝わってきた。こっちの意見も聞きたくてしょうがないという様子でした。
彼の意見がやり取りしやすいのは意見の発信源が『自分』にあるというとこだ。
決して「誰々が言うには・・・」というようなヨソヨソしい意見でない
こういうスタンスの青年との議論は本当に楽しい。
だって「本人」と話をしている気持ちになれるから!
自分の主張をこっちにいとも簡単に論破されてむしろ嬉しそうだった。
ちゃんと否定されることはちゃんと伝わった(受け入れられた)気持ち良さがある。
今回、彼は多くの刺激を受け、大喜びで帰っていった。
野球小僧の期待に応えれた!
私の嬉しい瞬間。
現在、世界大学野球選手権が行われている。そこには彼らのチームメイトが参加している。冷めた部員なら、「せっかくの休みなのに野球やらされて~」なんて言うであろう・・・
でも二人は「クッソ~、あいつらは野球やってんのに、なんで俺はオフなんだ!」という発想である。
だから、いてもたっても居られずに熊取まできた。