10月28日この日、プロ野球ドラフト会議が行われた。
昨年は横浜3位の安斉選手の知らせにビックリしたが、(2009年10月29日参照)今回のドラフトも私にとっては感慨深いものとなった。 それは千葉ロッテ3位で指名されたのが小林敦投手だったからだ!http://topics.jp.msn.com/sports/baseball/article.aspx?articleid=436868
彼との出会いは彼が東海大相模高校2年生の冬のことであった。監督さんから依頼され、トレーニングを指導した。
当時の彼は大黒柱のエースで、チームを背負って立つ覚悟を持っていた。
だからチームへの不平不満などがなかった。シンプルに課題に向けて取り組むことができた。
こんな選手の力になれるのは幸せなことだ!
これは今になって感じることだが(当時は分からなかった)、不平不満の多い選手は、その後あまり成長していない。
だから、本当に上を目指せる素材であるならばその辺を考慮した指導をしてあげなければ本当に可哀想なことになる。
これまでの野球界は、野球の素質だけでおだてて高いところに登らせておいて、ハシゴを外すような事が多すぎると実感している。(私もその片棒担いでしまっているので偉そうには言えないが 汗)
さて・・ 当時、私は、「勝っている投手と勝てない投手の差はどこだ?」ということに非常に興味があった。 それは甲子園で優勝するような投手の指導をすることができた経験も大きいが、何より、上手く行ってない選手が私のところに相談に来るケースが多かったからだ。
色々な指導者やプロの解説など聞いてみてもイマイチ納得できるものがなく、
「ホントにそこか~?」という疑問を常に持っていた。
最後は『センスが違う』などという話で終わるパターンにホトホト嫌気がさしていた。
私が知りたいのは「だから何のセンスなのよ」ということなのだが、そこは考えないことにする世界になってしまっている。
自分がやる分にはそれでもいいが、『何とかしたい』と追い詰められた表情で、自分の目の前に選手が現れているのに「センスが無いからしょうがない」とは言えない。
そんな中で、当時の私は恐れ多くも、「ここを押さえている投手が勝っている」という考え方を確立しつつあった。
そのためのフォームはこれだろう!という考え方を編み出していた。
これを彼に伝授しようとした・・・ そしたら彼はトントン拍子で勝ちました・・・・
という風に行く予定であったが、そうは世の中甘くなかった。
小林投手は私の理論に賛同してくれたのだが、いかんせんこの考え方は、将来を見据えトータルで考えた時に最後には結果を出すためのものであった!
『今が全て』の高校野球では、それを納得してもらうには、プレーヤーとして実績の無い若造の私ではいかんせん苦しいものであった。
あの無力感は、今思い出しても胸が苦しくなる。
ただ当時の苦しんだ経験は今の私にかなり役立っている。
当時、「大学でいじられておかしくなった」と評判になってしまった彼には本当に苦しい思いをさせてしまった。
その後、大学に進学した彼とはよく議論を重ねた。
大学での成績は彼のポテンシャルから行けば満足できるものではなかったが、ここでも、周囲や環境への不満は一切なかった。自分が結果が出なくても後輩の心配をする姿勢があった。
だから、いつも穏やかながらも前向きな議論ができた。これは私としても本当に幸せなことであった。
社会人になって、彼は飛躍的に頭角を現した。
先日連絡を取った時には、「あの時の経験が生きてます、悩んだことで今があります」と言ってくれていた。
本当にありがたい。
ドラフトの夜、メールを頂戴した。
「まずはこっからなんで試合に出れるように頑張ります!」と・・・
今後は千葉ロッテを静かに応援しようと思う。
私の20代の日々が報われ、一つの確信ができた大きな1日となりました。