先日、事務のN口さんの息子さんのチームメイトで小学校6年生のHくん(右)の指導をした。
このH君は、能力が高いと評判の選手で、将来が嘱望される素材である!とN口さんが言っていた。
投げで指導したのは腕を振る時に、上体も一緒に振って投げようとしている部分であった。
その影響でボールを押しだすようにして投げていた。これは、「肘を柔らかく使おう」という意識があると発生しやすい。
腕を振る前に上体を振ってしまうと、腕が振り遅れる!そうすると、力の入りにくい位置で投げる事になる。タチの悪い事に、力の入らない位置で投げると本人は非常に力を込めているつもりになり、尚更力を入れて投げようとしてしまう。
ピッチングにおける、いいフォームとは、各関節がそれぞれ力を発揮しやすい位置になるような角度であったり、位置で運動している形を言うと思っている。
例えば、腕立て伏せで言うと、深くするとキツイが、これは外に大きな力を発揮しているからではない。体重を支えているというのは一緒なのだ!じゃあ何が違うかと言えば、力を出しにくい位置であるということなのである。(スティッキングポイントともいう)
てな訳で、うしろ歩き投げや、一本背負い風投げ・・・
などなど腕の振りやリリースポイントを自覚しやすいドリルをしながら指導を行った。
このHくん、確かにモノがいい!
走り方もいいし、身体のバランスも良さそうだ!身長もすでに私を超えている(泣)
何より、指導に対して黙々と集中して取り組むことができる。
2時間を超える指導で結構寒かったはずだがよく集中していた。ストイックな取り組み姿勢がいい!
こりゃ将来が楽しみだ・・・
と言いたいところですが、私にはこのストイックなタイプは少々不安がある。
それは、プレーの事ではない。 野球を続けられるかということである。
私はこのクラスの素質を持った選手は続けてくれれば必ず大選手になると確信している。(それくらいの素質です)
しかし、続くかどうか・・・これがまた別問題
というよりこの雰囲気の子は中途半端に野球をできない分、上手く行かなかった時やケガをした時の挫折感も大きい。ヤケクソになりやすい。 必ず訪れる浮き沈みの中で柔軟且つタフにやっていけるか・・・これが超重要!
それから、人間関係。
周囲の人は野球の実力と本人の人間性を関連付けて考える。
技術の高い選手はその分、『精神的にも大人なんだろう』と勝手にきめつけられてしまい、何も言ってもらえないケースが多い。
また、「上手い選手に注意してヘソ曲げて辞められたりしても困るから言わない」なんて事もよくある。
そんな積み重ねが時に、本人はボーッとしてるだけでも「あいつは上手いからって、生意気だ!」というような感情を持たれてしまったりすることがある。
ストイックな選手は勘違いされる事も多い。 その点、私は胴長短足で、性格的にもツッコミ所満載のスキだらけなんで助かってる部分は大きい。(笑)
私はこれまで、将来を期待された小学生が中学で曲がってしまい野球を辞めてしまったケースを結構見ている。ストイックな選手が曲がった時の反動は大きい。
周囲の期待に応えられなかった裏切り感みたいなものも、ズッシリのしかかってくる。
下手だったらこんな心配ないんだが(汗)
このクラスの選手は、続けてさえいれば必ず結果がでる。
今は技術よりそんな部分を大切にして欲しいと願っている。
てなわけで、彼にはもうちょい、返事をハキハキすることや愛想を良くすることの重要性を伝えたいと思いました。
通常ならば、『ちゃんと返事するなり愛想よくしてくれないとこっちだって教える気にならないし、何であんな奴に教えるんだ!って他の人に言われちゃうよ、君の為なんだよ』なんてのが私のいつものパターンです。
しかし、これも何だか「俺に頭下げろ」って言ってるみたいでナンダかな・・・なんて思い、言い方変えました。
「H君!君が明るく返事してくれないと、俺がまた周囲の人に無理やりイヤがっている小学生を指導して『児童虐待だ!』と言われちゃうでしょうが!私の為に愛想よく返事してくれ」と・・・(笑)
これにはHくんもニッコリ笑ってくれました。
今度来たら、一発芸でも仕込むかな(笑)
強豪私学では必須です! 精神的タフさが身に付きます!
多分、これが一番感謝されます(笑)