地元熊取出身の高校生投手(1年生)のピッチングを指導した・・・
先日の健康教室で来てくれた熊取ベアーズの卒業生である。
実はこの指導・・・本人にとっては非常に切実なものであった。
それはその悩みが『イップス』の克服であったからだ・・・
それを野球で言うと、投球が本人の意思ではコントロールできなくなってしまう状態をいう。
例えば、キャッチャーがセカンドには強い球を投げられるのに、投手に返球する時にワンバウンドを投げてしまったり、打撃投手をしていて、ゲージを超えてしまうような暴投を投げてしまったりする。
そんな状態のことである。
実は、野球においては「投げる」ということの価値は一番高いものである。
投げることが制御不能になるということは、「キャッチボールができない」ことを意味する。
キャッチボールは、一番重要なコミュニケーションである。
そのコミュニケーションを奪われることを意味する。
「投げれない」と相手に迷惑かけるので、真面目で相手の気持ちを気にする選手ほど申し訳ない気持ちがさらにプレッシャーとなり、悪化しやすい。
そのチームの中での疎外感や自分への絶望感たるや、ホントに首つりたくなるくらいの気持ちになるものである。
実際、この選手も「退部届を出しに行く予定」というところまで切羽詰まっていて、
「最後のかすかな望み」ということであった。
考えたら、イップスの相談をできるところってありませんからね・・・
・・・で、指導の結果としては大成功となり、来た時には引きこもりそうな顔してましたが、帰る際には明るくなって、また練習に参加する前向きな気持ちになってくれました。
これって、彼にとっては大きいことです。
人生の傷になるところでした。
やり甲斐ありました!
気になるのは何したか?ってことだと思うのですが、
腕の動きには一切手を加えませんでした。
イップスは手先でコントロールすることを過度に意識するあまり逆にぎこちなくなって起きます。
かつてのは私は、座って投げるなどの下半身を固定した状態で腕の使い方に絞って練習することをよくやった。
しかし、このような「肘や手首の使い方がどうの」とか言ってやっても成果が出たことが私はない。
そこで今回は全身の連動性が失われているのが「イップスの症状」と考えて、できるだけ全身運動の結果で投球することを心がけて指導してみました。
私は現在、どうやったら肩の周辺の筋肉を使うことなく、腕を回すことができるか?という方法を模索しているところだったのですが、そこで考えたアイディアをここでも実践してみました。
その動きのネタ元は、ラジオ体操です(特に第2)
いかに、下半身の弾性を使って腕を回すか・・?
そんなことをテーマにやってみた。
それは、コントロールよく投げることを意識するあまり下半身の動きに弾性が無くなっているパターンが多いからです。
この腕の動きを触らない指導は投手に好評です。
腕の振りをいじられることに投手はナーバスです。
私がやっているのは、こちらからやらせたい『客観的な形』をどうやって本人の
『やってる感じ(主観)』に落とし込むか・・・という作業です。
だから、「相手の分かる言葉で話す」のが基本になります。
このあたりは学生さんに価値をおいてもらいたいところなのですが、
「わかる言葉遣いは低く見える」というのが学生さんの特徴です(汗)
私もそうでしたんで(汗)
学生さんに伝えたいのは・・・
指導は、「何を言った」「何をやった」だけではなく、『行間』にミソがあると思ってます。
だからライブが大事だと思います。
それにしても・・・
野球歴25年でようやく「肘のあげ方の発見」で喜んでる私・・・
アホですな・・・(汗)