ベイスターズの安斉タケトラ投手の投球指導をした。
彼は2年目のシーズンだった今年は肘の故障があり、2軍すら登板することなくリハビリに明け暮れてシーズンを終えた。
まだ1軍の登板が一度もない彼は3年目の来シーズンは人生にとって重要な意味を持つ。
『見込みのありそうな選手である』ということをアピールすることができなければ、次のシーズンはユニフォームを脱がなければならない。
私としても力の入るところだ。
彼は身長189僂猟洪箸ら威力のあるストレートが持ち味の投手である。
そのスピードは150キロを超える。
身体の各部位が長いほど、上手く使えればスピードを出すためには非常に有利である。
だが、その使い方を間違えると逆に身体へは負担が増加し故障の原因となる。
ゴルフで言えば、ドライバーなどの長いクラブとショートアイアンの違いと言えば分かり易いだろうか・・・
上手く長いなりのタイミングを理解して振れば威力倍増であるが、ズレた時には大きな反動が来る。
「秋季練習で全くダメだった映像を持ってきました」という事で持って来てくれた彼の投球フォームはそのタイミングが見事にずれていた。
「何が何だか分からない感じで・・・」とかなり自信を無くしている様子だった。
だが私は映像をみて、『タイミングがずれているだけで各部分のやっていることは間違っていない。』と思った。
「これ、今日ですぐ直るよ、自分で思ってるほど下手になってるわけじゃないから安心してくれ」とハッキリ言ったら喜んでいた。
早速、指導開始。
ミートに動画を撮影してもらいチェックしながら指導を進める。
タイミングがずれている投手にとっては修正の指導を受けた時にかなりおかしくいじられているような感覚がし、「俺、変なことさせられてないだろうか?」 と、大変な不安に襲われるものである。
その感情に鈍感だと投手コーチとの溝は深まってしまう。
だから、私の場合は動画をこま目に見せながら安心させるように心がけている。(この点はデジカメ万歳)
本人は「こんな投げ方ないだろう」と思いながらやった動きが、動画で客観的に見ると
「あり?結構普通だな、あの投手とそっくりだ!てことはこんな感覚でやってたのか!」という気付きを与えるのが狙いである。
プロの世界に生きてる選手なだけに、一流選手の動きは生で沢山みているのでこの辺は話が早い。
即効性はあった。
読み通り、タイミングさえ合えば抜群の威力のあるボールが投げれた。
気温はかなり低い中での話である。おかげでミートは風邪ひいた(泣)
本人も「いい時の感覚が出てきました!」と喜んでいた。
大切なのは「なぜできてたのか?」を知ってることだと思う。
これを知らないから崩れかけた時に修正のしようがない。
それにしてもかなりの威力のあるボールが来ていた。
あとは数を投げ込んで精度を上げれば1軍だってイケるハズだ・・・
・・・と、 こういうのは結果が出てから言えばいいと思うのだが、どうにもすぐにデカイこと言ってしまうのが私の悪いクセである。
大阪的になって来たとも言える(笑)
結果論では選手もたまらんと思うので指導したこちらもリスクを負わねばとも思っている。
その夜、指導を手伝ってくれたニシ君から面白いメールが来た。
『指導の時に絶対に相手を否定しない、これを僕もできるようになりたいです』
へ~、そんな視点で私の指導を観てくれてるんだと嬉しくなりました。
ただ、そんなカッコいいものではなくて、否定されまくって行き場の無くなった選手やグレちゃった中学生の指導ばっかりやってたのでこんな風なスタイルになっちゃったんですが(笑)
ということで、チームのゴタゴタもあり不安になっているであろうタケトラ選手に
『監督も変わり、今まで出してもらえなかったけど、新たにアピールするチャンスじゃないか!』 と励ます私に彼は答えた
「僕、オバナ監督に気に入られてたんで・・・」
「あっ・・・」
不発もあるのよニシくん・・・
てなわけで、タケトラ選手をちょろっと気にしといてください!