コンビニに停車してあった高級車の前で調子に乗る若者が一人・・・
「何、他人の車の前でカッコつけてんのアナタ・・・」
「いやいや自分のですよ」と答える若者・・・
「なんだお前、あんな成績でそんな車乗ってたら客が怒るぞ!」と私
「いやいや、自分に気合入れるためにも買いました!僕は1番車の白が好きなんでナンバーは1で白にしました」と若者・・・
「なにいってんの、アナタはいつも緑の6番でしょうが」と私
(白の1番車は強い人がつける車番で、緑の6番車は一番格下が付ける車番です )
彼の名は渡辺馨くん(27)平塚所属96期の競輪選手です。http://keirin.jp/pc/dfw/dataplaza/guest/membprofile?SNO=014526
ルックスとファッションセンスはS級(最上位)ですが、本業はA級3班(一番格下)です。
競輪学校受験に失敗すること3回(4回だったかな?)その間のプータロー時代に私がラーメンをご馳走していたあの頃・・・
「組長!プロになったらスケールのデカイ競争しますよ!」などと勇ましいことを言っていたが・・・
いざなってみると・・・
ハンパレースばかり・・・
『何やってんの?アナタ?そんな事するために選手になったの?』
と問う私に
「組長はそう言いますけど、着が大事なんですよ」と言い返してくる始末・・・
「俺が何を言ってもダメだ」と距離を置くことにしたこの1年・・・(優しいJ社長はその間も励ましてくれていた)
彼が迷いながらレースをしていることは、動きによく現れていた。
彼は非常に根が真面目な人柄でありコツコツと努力を継続することができる。
しかしながら、確実に勝ちたいと思うあまりレース本番になるとセコイレースになってしまうことが多かった。
謙虚であるのはいい事なのだが、自分を過小評価しすぎてレースが小さくなってしまっていた。
勝負事は、時に「バカ」になってみることも大切なことだ。
特に競輪は人がやっているのでお互いが腹の内を探りながらレースをしている。
そんな時に「何考えてるか分からないバカ」は怖い存在なのだ!
「その人の損得勘定が読めない」といったほうが良いかもしれない。
上位着から賞金が高い競輪は、皆が一つでも高い着を取りたいと思っているので大事に行きたいと考える。
そんな中で思い切りの良いレースをすることはある意味でバカにならないとできない。
そんなレースをできる選手に周囲は「こいつのスケールは凄いな」と怖さを感じる。
そんな事を散々言って来た。
しかしハンパレースを繰り返し低迷する彼に私自身、「こんなもんだったのかな・・・」と諦めかけていたら・・・
ここ2カ月ほどは人格が変わったかのように積極的なレースになり、先日の松坂では久しぶりに決勝に進出した。(初日予選1着・二日目準決勝3着・決勝8着)
『やればできる能力はある!』と言い聞かせてきたらようやくその気になってきた・・・
次の静岡(23日から)の意味はデカイ・・・
せっかく上昇したからここで大事に行こうとするのか・・・(多分こっち 笑)
それとも、「ナメンナヨ組長!ここでドカーン行ったるわい!俺の生き様を見とけや!」となるのか?
彼の選手としての真価が問われる・・・
しかし、実は本当に真価が問われるのは私の方である・・・このブログを彼は読んでる。
ここまで言われたら、彼が奮起した積極レースをすると決めて彼の軸から勝負するのか・・・
はたまた、彼本来のセコサがにじみ出るレースをするとみて外す予想するのか・・・
仁義人情車券術のJ社長か・・・
お笑いネタ車券術の千里所長か・・・
私はどうする?
勝負師としての真価が問われる一戦となる・・・
おいカオル!行かんかい!