先日、競輪の渡辺馨選手(写真右2人目)から聞いた話を紹介する。
思い出すたびにニヤリとしてしまう(笑)
ここでちょいと競輪について説明する。
競輪とは勝ち上がりの競技大会をやっていると思ってほしい。
予選があって、準決勝(二次予選)があって決勝があるパターンである。
当然、決勝戦で優勝するのが賞金が一番高い。
じゃあ最終日は決勝の1レースだけやるのか?というとそういうわけではなく「負けた人同士」のレースも行われる。いわゆる「負け戦」というやつである。
そんな舞台裏の選手の雰囲気はどうなっているのか?
初日はどの選手も「勝ち上がる可能性」があるので緊張してピリピリした雰囲気になっているのだという。
じゃあ2日目は違うの?という疑問が・・・
初日予選で、3着に入れなかった選手が6人出る。
勝ち上がった3分の1は「明日(準決勝)が勝負だ!」という気持ちで夜を過ごす。
そして、2日目の夜、準決勝で勝ち上がった9名のみが「明日は決勝だ~」となる。
それ以外の選手は消化試合だ・・・
こんな舞台裏ではどうなっているか?
まず、「俺はまだ勝ち残っていて緊張してんだぞ」なんて繊細な事言ってるようじゃまずダメなのだそうだ。
どんなに周囲がうるさかろうが平気で寝てられるとか、大らかでいられるようでないとダメなのだそうだ。
それから「勝ち上がってる方が気を使うのが競輪界」なのだそうだ。
今までのアマチュアスポーツの感覚だと、勝ってる人に負けてる人が気を使う(補欠がレギュラーに気を使うみたいなのも)のが常識だと思っていたが違うらしい(笑)
例えば、競輪では1着を獲った選手はレース終了後にすぐに残りの8名に「ありがとうございました」と頭を下げてポカリスウェットを配るのが慣例である。それは自腹である。
それから負けた同じグループの選手に夜のつまみだのなんだのを振舞うというような慣例もあるそうだ(笑)
渡辺選手はいう
「そりゃ~決勝まで残ったりしたら、同じ地区の先輩に最終レースまで待っててもらわなければいけないわけですから」
どういうことか、 ここで分かり易く例え話をしてみる。
私とミートが選手だったとして、遠く函館のレースに2人で参加していたとする。
大会が進む・・・
先輩としては偉そうにしてたとしても、脚力の衰えた私はあえなく予選から飛んで(つまり負けて)負け戦を消化する。
そして、ミートは若さ溢れる走りで決勝まで大躍進!
最終日、私の出る負け戦は、前座レースとして序盤に行われる。
一方、決勝まで進出したミートはメインの最終12レースになったとする。
第一レースの賞金も安く、客もロクに見ていないような負け戦を、特に燃えるものも無く走り終えた私・・・まだ午前10時半である。
私の仕事はもう終了。
一方、ミートの方は賞金も高く、且つ観客にも注目されるメインレースは16時半出走である。
一緒に飛行機で帰る私はさすがに、「ほんじゃ俺は飛行機変更して先に帰るね~」というわけにいかない。
ミートが決勝に残ってしまったためにレース終了直後のサポートなどがあるので残ることになる。
「あ~けっこうなことですね~ミートさん」
とイジケテいる私にミートが気を使うハメになるのは自然の流れですね(笑)
・・・とこんな調子なので 渡辺選手の名言!
「競輪界は強い奴ほど気がきくようになっちゃうんですよ!(笑)」
「ナルホド!これは面白い」
そうか、キレイ事で『気を使えるようになれ!』
じゃなくて、
強い⇒勝ち上がる ⇒負けた先輩に気を使う ⇒いっつもやってるから習慣になる (笑顔も含めて) ⇒稼ぎはケタ違い!
弱い⇒すぐ負ける⇒気を使う必要がない⇒稼げない
『強いと気がきくようになっちゃうんですよ~』
この方がよっぽど聞き易い!
無用にピリピリしてる人などみて、困ったらこう思おう。
「負け戦まわりなんだから仕方ない、こっちは決勝に残ってるんだから気を使うのが当然だ」
逆に自分がピリピリしそうになったら、
「ハッ!これじゃ負け戦クラスだな」
と自分を笑おう!