3月3日
4年生は、最終関門の柔道整復師の国家試験日であったこの日、私は1~3年生34名を引き連れ極真空手大会の救護サポートにあたっていた。 思えばこの日、国家試験を受けている4年生もこの企画において大変に貴重な経験を積むことができた。
さて、この日も救護活動において貴重な体験ができたのだが、今回はそのあと師範の皆さんに無理を言って『極真空手とはどのようなものなのか?』という事を実際に合同稽古という形式で体験させていただいた。
M本師範より、「普段の頭のスイッチをぶっ壊して、大きな声を出して行きましょう!自分を引き出すお手伝いをさせていただきますが、最後に出すのは皆さんです!」と大変にありがたい導きをしていただき、普段、モヤモヤしている学生たちの悩みを吹き飛ばす元気の出る稽古をつけていただいた。
礼儀作法に始まり、基本的な立ち方、そして突きや蹴り、サンドバッグ、そして乱取りまで大変に中身の濃い90分であった。
さて、 うちの学生は、スポーツ向きの学生ばかりではない。
「人見知りの傾向が強い今時の学生」である。
「頼んでみたものの、うちの学生はちゃんと反応よくやるだろうか、師範の皆さんの熱意に失礼の無いように前向きにやれるだろうか?」と心配であった。
しかし、そんな心配は無用であった。
師範の皆さんがハートに寄り添うような形の熱心さでグイグイと引っ張っていってくれたため、ものの10分ほどで、「あれ、こいつってこんないい表情で頑張るタイプであっただろうか」と驚くようなハツラツとした動きが出てきた。
私は指導者のはしくれとして、大変に感動したと同時に
「あ~信頼関係のできる指導ってここだったのか!」と、今後の指導に重要なヒントをもらえた。
それは、今回の稽古の中での大きなテーマである『声を出す』ということに対して「連帯責任」という形を取ったことと、そのやり方についてである。
「ハイ、声が出てないから連帯責任で腕立て~(拳で)」 とか、
「ハイ、まだまだ足を挙げれるのにできてないから連帯責任で腕立て~」 という調子であった(汗)
体罰問題全盛で体育会的教育手法の是非が問われている状況において「連帯責任」なんて今時の学生にいけるのか~(汗)
とヒヤヒヤしていたら、ナント師範の皆さんも一緒になって腕立て伏せをしながら
「ウォ~シ!イッチ!ニー!」とやっているのである。
つまり、「連帯責任で指導者だって腕立てだ~!」という勢いなのである!
そうか~! 私は本当に反省した。 今まで「連帯責任だ!」というのは、指導者はふんぞり返って、走らせたりひっぱたいたりするもんだと思っていました。
しかし、言葉の意味をシンプルに捉えれば、ミスした責任の大きな部分は指導にあるのだから、連帯責任といえばむしろ指導者が率先してやるべきであり、選手の方が「僕らの責任もあります」くらいで一緒にやるというのがスジなんじゃないかと思った。
師範の皆さんも一緒になってというよりむしろ率先して「連帯責任だ~!」と腕立てやってくれるものだから、学生だって「俺らもやるぞ~」と腕立てしていた。
そして最終的には本当に大きな気合いの入った、師範と気が合った(まさに気合い)声が出せるようになった。
最後の声だし(写真)を見ていて私は感動と自身の反省で涙が出そうであった。
教育問題が騒がれる昨今、「信頼があるかが分かれ目」などと言われ、「じゃあどうすりゃ信頼されんのよ?」という議論でバタバタしています。
『一緒にやる』これって大きなキーワードだな~と私は思いました!
ちゃんと連帯責任とってくれたら学生だって動きます!
こうやって、モジモジしている学生をグイグイと引っ張っていく指導って、「嫌がられるんじゃないかな~」と思って普通はやりたくないものです。
しかも、自分と関係ないと思えば尚更です。本来はやるべき教員ですらできればやりたくない作業です。
空手を通して「いい学生になって日本を良くしてくれよ~」という心意気を学生には是非感じてもらいたいと思うし、いつの日か、そっち側になって欲しいと思います。
師範の皆さま、お陰様で学生の魅力を引き出していただき本当にありがとうございます。