今回は野球界におけるよくある格言の一つ「リズムよく」ということについて述べてみたい。
よく言われるのは、
「投手のリズムが悪いと野手が守りにくくてエラーが出やすい」とか、
「投手のリズムが悪いと攻撃のリズムが出ないから点が入らない」というようなものである。
テレビの解説者までエラそうに言っている。
それホントか?
もし仮に野手が「投手のリズムが悪いからエラーした」と言ったらそんなもん野手失格だろう。
どんなに投手がグダグダであろうとも、試合の展開が悪かろうと、平然と質の高いプレーをしてこそ「いい選手」なはずだ。
例えば、あなたが投手で苦戦しているときに、
「投手のリズムが悪いとこっちが守りにくいんだよな~」と文句をいう野手と
「いいよいいよ!俺は上手いからゆっくりやってくれ!」と言ってくれる野手とどっちが勇気が出るだろうか?どっちが上手いということだろか?
さらに言えば、「打撃にも悪影響する」って・・・何考えてんだ!と言いたいところである。
逆境でこそ実力差が出る
ちなみに、このあたりの感覚は競輪の世界では恐ろしいほどに格付けの差として表れている。上位の選手は不利な状況や自分のリズムでプレーできない時になんとかする力が凄まじい。
私は不思議に思う。
なぜ、「リズムが悪い時の練習をしないのだろうか?」と
リズムがいい時の心配なんかしなくていいと思う。
野球がうまいチームに見える方法の一つに
「リズムよく機械的にこなされるシートノック」というものがある。
私はこの慣例が「リズムよく打球が来ることが当然」という常識みたいなものが身についてしまうのではないかと思う。
当然だが試合になれば予定通りに打球なんざこない。
だから例えば、ノッカーがしょっちゅう空振りするノックなんてのだっていいと思う。
その中でイライラすることなく平然とプレーをできる精神力をつければいいと思う。
そもそも相手が格上の場合、こっちがリズムよくプレーできるわけがない!
弱い側がやるべきことは、いかにリズムだのに拘らず失点しても平然とプレーをし、泥試合に持ち込むことしかないと思う。だって弱いんだから失点する方が当然の現象じゃないですか。
弱い方が、いちいちリズムが悪いだので落ち込んでいたらさらに状況は悪化するに決まっているではないですか。
「なんだ?諦めてるのか?」ということではありません。
やたらに「リズムよく」とか言っているのが「自分のチームの分析ができてない」のではないか?ということです。
さらに勝つための可能性を探していない姿勢なのではないか?と思う。
リズムなんて気にせずにどんな状況でも平然とプレーすることが、逆にリズムが「生まれる時には生まれる」ものだろうと思う。
プロ野球でも思うのは、下位のチームほど「リズム」だの「綺麗な形」に拘り、ウマくいかないことに絶望して勝手に自滅しているように見える。
逆にダントツ首位のチームは先発だのが打たれても平然とプレーをして逆転勝ちがやたらと多い。 これやること反対じゃないの?と思う。
そんなことを思いつつ、最近は
「ミスしてもされても、いちいち落ち込んでないで、皆でカバーしてミスが無かったかのような顔してプレーしよう!弱い方が落ち込んだら目も当てられない!シラけたり、腹立てたりしてる場合じゃない!下手なんだからリズムよくプレーができると思わないように」
てな声をかけている。
まだ野球の基礎と言われるキャッチボールから指導している段階ではあるが、さらにその基礎となる心構えの部分だと思っている。
さて先日行われた秋季大会初戦・・・
相手はこの夏、甲子園に出ていたM高校・・・
なんでそういうとこひいてくるかねこの監督は・・・
と思っていたら6-3で勝ったという・・・
そういうこともあるもんですね