前ネタで書いているように、
今のワタシは・・・
ようやくワタシ自身にとって本業の野球の話を聞いてもらえるとあって
「いや~これまで10年、ワタシの野球に興味を持ってくれる学生も少なく、なんとなく流れではじめた運動教室のほうがウケてしまい、学生からは専門のない先生みたいに見られ軽んじられてきたが、これでようやく専門家でもあるところを見せられる。ついては、これからは他の専門家の先生方をマネして、クールぶってオーラまがいの威厳を出して人がよりつきにくいような怖い感じでも出していくかな」
などと考えてイメージチェンジの構想を練っている。
キーワードは「威厳」である!
もう気安くモノを頼まれても、ホイホイと引き受けず、
「そんなカッコ悪い仕事はワタシのプライドが許しません」
くらいのことを言わねば・・・
威厳を保てる仕事しかせんぞ!
そんな決意をしている2019年正月である
そういうワケで、意図的に眉間に力を込めて過ごすようにしているが・・・
そんな時、
職場の事務所からワタシのもとへ内線がくる・・・
当然、眉間に力をこめて内線に出る(ちょっと重厚感のある声で)
ワタシ「もしもし、どうしましたでしょうか?」
事務員さん「あの~熊取町のタナカ様から外線が入ってますのでつなぎます~」
ワタシ「なぬ?タナカさんかよ!」
と、つぶやきが聞こえたのではと焦るくらいにすぐにつながってしまう。
「どうも先生タナカです。いまから行きますんでヨロシク」
・・・と、そのタナカさんはやってきた
このタナカさん。
大学の地元熊取町の役場の住民部長を務めた方で、
現在は定年退職したからといって大人しくなることもなく、
ノルディックウォーキングの会長になっている。
知らない人のために説明すると、この熊取町というところは「町」などと言ってはいるがナカナカの町で、
ノルディックウォーキングやら太極拳やらいろいろな
文化的スポーツ活動が盛んなのである。
(なんとなく、ワタシの健康教室『こことれ』もそれなりの存在になっているようで・・・)
・・・で、その会長のタナカさん。
実はワタシはこのタナカさんからかなり気に入られちゃっているのである(汗)
「先生、今年もよろしくたのみますよ」
と、タナカさん
そう、ワタシは毎年、なんかしらの
健康運動関連の講演をやっているのである。
まぁ、そういう講演なら「威厳は保てるな」という計算のもと
「そうですか、まぁいいですよ。やりましょう」
と威厳を保って(いるつもり)答える。
「・・・で、今年はどんな調子でやりましょうか?」とワタシ
すると、タナカさんも今年はちょっと違うぞと言わんばかりの妙な表情でいう。
「タナカさんが、この顔をしたときはアブナイ。」
ワタシは直感的に、
内容も聞かずに講演を引き受けると即答してしまったことを
後悔した・・・
威厳を保つことのほうに意識がいきすぎた・・・・
タナカさんは、ワタシの上をいく威厳を保った表情でワタシにいう
「今年は、例年どおりじゃつまらないから、外に打って出ようと思う。
ノルディックの会員だけじゃ広がらないから場所を変えます」
(うわ~ 嫌な予感・・・ こっちはつまらなくてもいいんですけど・・・細々といきましょうよ・・・・)
と思いながら聞いていると・・・予感的中!
タナカさん、恐ろしいことを言い出した・・・
「いこらモールでやります」
「えっ!」
「あそこによく、歌手とか来てコンサートとかやってるでしょ、あそこです、ちょうど舞台あるから」
いこらモールとは、そうショッピングモールである。
イオンほどではないがそれなりの規模である。
よく、ショッピングモールの中で演歌歌手が来たり、
若手芸人が来たり、子ども向けのヒーローショーなんかをやっているのありますでしょ。
あれですよアレ!
買い物客とかが横目で見ながら通過していくやつです。
しかも、吹き抜けで二階からも見下ろす感じで観てるやつです。
「エ~ッ!そんなのやるの?人は来るんですか?」
「そこは先生のウデで・・・」
(こういうことを笑わずにいうタナカさんです)
「でた・・・・・」
なにもそんなところでやらんでも・・・
ちゃんと健康志向の目的を持っている人がくる体育施設とかでやりゃいいじゃんよ・・・立派なのがあるんだから・・・
まぁ、よく競輪場にくる芸人みたいなもんか・・・
ああいうの、若干、下に見て・・・というわけではないが、
まぁその~ 皆さんだってちょっと眺めて面白けりゃ観てやるよ
・・・ってなもんでしょ?
つまり相手が主導権を握っている。
普通の講演って、「この話を聞きたい!」と思って来ているわけで、
こっちだって「相手が聞きたいと思っている話」を「聞かせている」意識だが、
この場合は、
「ちょっとそこを歩いている皆さん、ワタシの話を聞いていただけませんか?」
ってなもんでしょ。
しかも時期が8月・・・
夏休み・・・
チビッ子家族連れみたいのがワンサカいるような状況で果たして足を止めて参加してくれるか?
そりゃ、芸人とか演歌歌手なら名前を売るとかCDを売るとかあるけど、
ワタシャいったい何を目指して・・・
野外ライブか・・・
無理やりカッコよくいえば・・・
う~ん・・・
こりゃ・・・・
威厳もクソもない・・・・(笑)
威厳なんか出したら人は来ない!
う~ん、やっと野球のセミナーをやるぜ~と思っていたら、
今度は真逆か・・・
これ、たまたま両方見た人はいったいどう思うのであろうか?(笑)
また振出しに戻った気分だ(笑)
しかし、ワタシの悪いクセ、こういうムチャブリほど燃えてくる。
だいたい、タナカさんも完全に確信犯だからな、
「まともな大学教員だったら絶対にやってくれないがアイザワなら」
って思ってやがるもんなな。
まったくも~(笑)
これは絶対にスベルぞ~!勝算が全くない(笑)
もはや
武勇伝を作れる絶好のチャンス!
・・・と思ってやるしかない(笑)
こういう時のワタシには奥義がある。
必殺の「幽体離脱」である。
それはこういう技である
「いま、聴衆に冷やかな目で嘲笑されているのはワタシであってワタシでない。人工知能AIを搭載したロボットである。AIはアイザワのAIである」
・・・ということで、
心をどっかに飛ばすのである。
すると、あ~ら不思議、冷静に全体を見渡せると共に、
恥ずかしいとかなんとかのプライドは無くなる。
なぜならプライドという『心』はここに無いから(笑)
そこに~わたしは~いません~♪ 眠ってなんかいません~♪
ってなもんである。
まぁ、そんな姿はとても親戚には見せられないが、
ここは大阪、ワタシの実家は神奈川である。
アハハ、大阪で恥をかこうがどうってことはない(笑)
まぁ、一番の心配はワタシがすべっている時に
タナカさんが他人のフリをしそうなところであるがそこは許さん!(笑)
常々ワタシは組員たちに言ってきた、
「ここ一番でふざけられるかが大事」だと・・・
余計なこと言わなきゃよかったと後悔している・・・(笑)
・・・というわけで
威厳を出すのは10年先送りになりました・・・・
『請われれば一差し舞える人物になれ』by梅棹忠夫
さ~かぶくぞ~