(写真は本文と関係ありません 私の体育の授業より)
ワタシの所属している学会の学会誌の中に
体育授業の中での事故の裁判事例が載っていた。
それは高校体育の中で体操の授業でのことであった。
ざっと概要を述べると、
運動能力の高い生徒が難易度の高いマット運動
「側方倒立回転跳び・ひねり後方向き直立から連続して後転跳び」
を行おうとしたところ頭部から落下し、
頚髄損傷で重大な後遺症が残るようになってしまったという事例である。
その時の体育教師としての過失を問われたものである。
その授業ではレベル別に分れて練習していて、
先生は初心者のほうを重点的に指導していて
上級者はステージ上で練習していたという。
そしてそこまでの難易度の技を課題にしているわけではない中で、
生徒が自分で向上心から行おうとした自主的な技術練習の中で起こった出来事である。
もちろん、
痛ましい事故であり前途有望な生徒の事故ということで悲しいことは大前提であるが・・・
「授業の全過程において、生徒の動静を常時把握し、そのような危険な行為を行うことのないことを確認しつつ授業の進行を図るとともに、
生徒の生命身体に対する現実の危険が予想できる事態を発見したときには、ただちにその行為の中止や変更を指示するなどの機敏で的確な対応をとることのできる態勢をとっていることが必要であり、自らの監視能力ではこれをまかなうことができない場合には、適宜他に適当な補助を求めるか、それができない場合には、練習を行う生徒の数を制限するなどして、生徒の危険な動静を看過することのないようにすべきである」
きっ・・・厳しい(汗)
一方で、これまでのような押し付け教育ではなく、
学生の
自主的な活動を促すことが良い教育
だというのが今の風潮なんだが・・・
事故が起きれば一転すると・・・
それから、
だいたい頼める人は忙しいし・・・
暇な人は頼みにくい人だし・・・
「高校2年生という場合、その冒険心、向上心、達成意欲あるいは競争心などに駆られて、時には自己の能力の限界を極めようと危険性を伴う高度な体育活動に及ぶ可能性のあることは体育教師としては容易に想像しえる」
そっ、そうなのか・・・(汗)
「無理をするな、気をつけてやれ、緊張感をもってやれ
などという一般的、抽象的な指示をしたに止まり、
「連続を練習してはならない」という具体的な指示がないまま
生徒らの自由な判断に任せ、自らは初心者の指導に没入していた・・・そして生徒がステージ上でマットを移動していたのにも気づかず事故が起きたことも把握できないほどステージ上に関心を払っていなかった」
抽象的な指示じゃダメ・・・って、
こと細かく事例を言っていたら時間が・・・
上級者向けの注意を初心者に聞かせていたら時間がなくなるし、
じゃあ初心者になにかやらせておいて上級者だけの個別指導って・・・
初心者が自主的に機能するかな?
しかも、マットを動かしたのに気づかずって、
ヨコに並べていたのを連続ができるように縦にならべたそうだが・・・
きっ・・・きびしい・・・
これが載っていた学会誌は体育の人向けである。
「裁判でこうだから皆さん気をつけてくださいよ」
という報告なのであるが・・・
う~ん、わたし・・・
事故を起こさないうちにこの仕事を辞めたほうがいいかしら・・・
割と学生の自主性を尊重というか、
より工夫していたら、わざと見て見ぬフリしそうだし・・・
ちなみにワタシの上司は、
学生からどんなに嫌われようとも事細かに説明する。
口癖は、
『何かあったとき、あとで言われないように』
である。
そりゃそうなんだが、
その話を聞いている時の学生の死んだ顔といったら・・・・
ヨコで聞いている私だってうんざりするレベルである。
平常時にこれを聞くと
「酷い先生だなこりゃ」などと思うがこういう事例を読んで、
その状況を想像してみると
俄然光り輝く信念ではある。
授業アンケートでもその先生はボロカスであるが、
屁のカッパである。
ワタシだったら死にたくなるような罵詈雑言である(泣)
なんで、それに耐えられるのでしょうか・・・
何かあったとき(未来)のトラブルより今(現在)の学生の笑顔でしょうよ!
などと青臭いことを言ってしまいそうだが、
人生においてちゃんとした生活をしているのはそちらである。
こんな事例を見ていたら、
その先生の凄みが分るというかなんというか・・・
そっ、そうか・・・
それが世の中なのか・・・
と、青年のような悩みをしてしまう自分がなんとも・・・
だって・・・・
学生のつまらなそうな顔の前に立っているのってツライんですもの・・・
思えば・・・
ワタシなんて、
学生が「バスケやりて~」だの「サッカーやりて~」だの
「面白いことやりて~」だの言うのをできるだけ対応してやりたいなどと思って、
無理して体育館とグラウンドの2ヶ所でサッカーとバスケを同時にやるという無謀をやってしまった。(しかもワタシ一人で)
これで何かあったら一発アウトである。
さらにそれで喜ばれるかと思ったらむしろクレーム来るという・・・
・・・で、
せめて言った学生が
「ワタシが言ったことをやってくれてありがとうございます」
なんて言ってくれりゃ多少の救いにはなるが、
そういう学生は
「とりあえず言ってみた」
という大阪的センスに溢れているので
特にどうということは無かったりする
結論としてワタシだけ疲れ果てるという・・・
そして上司の
「なっ、だから学生の要望なんて聞いてちゃダメなんだって、アナタのためなんだから」
という高笑いを想像して絶望するループへ突入・・・
ワタシの場合
『え~い!そんときゃそんときよ!裁判カモン!』
なんて強気なものは全くない。
訴えられたら、
もう簡単に謝りそうだし、
サンドバック状態になるであろう。
「そこまでいうか・・・トホホ」
・・・で、去っていくだろうな。
ここトレなんてのもやってるけど・・・
高齢者に年寄り臭くない運動を・・・
なんてことで喜ばれているけど・・・
ウラを返せば危険満載ということですもんね(笑)
まぁ、いざという時は
「アイザワが勝手にやっていることです」
で切ってもらうために大学の公式行事にはしていないけど・・・
まさか事細かに
「何かあっても一切の事故の責任は負いません」
の同意書に一筆書いてもらって・・・
なんてのもね~ 萎えますでしょ・・・
でも、それが大事らしいんですけどね・・・
まぁ、学生さんに卒業生さん あんまりマネしないようにね。
そういや、だんだん皆離れていったな・・・
(みんな大人になったな 笑)
こりゃいずれ・・・かな(汗)
その時は何人面会に来てくれるかな・・・?
なんて想像してみたりした事例でありました。
ちょっとしんみりしましたが、
落ち着いて考えたら、ここトレの場合は
親身に協力してくれて、面会には来てくれそうな
温かい柔道整復師の先生方もいるので、もうちょっと頑張ります(笑)