以前、本学で教職員を対象にした研修会で、松下政経塾の先生からこんな話を聞いたことを思い出した・・・
学習の習熟レベルの段階について・・・
第一段階 「知らないし、できない」
第二段階 「知ってるけど、できない」
第三段階 「考えるとできる」
第四段階 「考えなくてもできる」
第五段階 「どこからでも教えることができる」
これを、スポーツの技術に置き換えると、第四段階まで習熟しているレベルでないと試合で使えるレベルではないと言える。
「ええっと、バッティングは、脇を締めて、インサイドからバットを出しながら、腰を溜めて、足はここについて・・・」なんて考えてたら打てるわけはない。
『考えなくても自動的に動けるようになるまで反復練習が必要である。』という意味になる。
さて、その研修会では、その上のレベルに「どこからでも教えることができる」という段階があるのだという。
第四段階までは「自分ができるか?」という習熟度であるが、最終段階は「人に教える(伝える)ことができるか?」という課題であり、もっといえば「どこからでも」ということである。
これは、初心者でも中級者でも、上級者でも、相手の段階によって必要な指導ができるか? これが、その事柄に対してどの程度のレベルで習熟しているか?を表す。
第五段階に行くには、「自分の感覚をどうやったら説明できるか、組み立てなおす作業」が必要になる。
また、「次の人に伝えるつもりで学習すると学びが深くなる」
私が「野球」に関して習熟していると言えるようになるためには、この課題に挑戦しなければならない。
・・・そんなことを思い出す1日となったのは、8月20日のことである。
この日、関西医療大学では健康教室が行われた。
これは、地域の皆さんに対して行われている講座である。
いつもは、中高年の方を対象にした内容が組まれているのだが、今回は柔整学科のチャレンジ企画として小中高生を対象にして、「部活で役立つトレーニング」という守備範囲の広いテーマで私が講師を担当することになった。
そこで、大学のすぐそばの少年野球『熊取ベアーズ』(熊取でベアーズってシャレてますね 笑)のI井監督に声をかけたら非常にノリがよく、「部員全員と保護者のミーティングを兼ねて参加します!」となり総勢約60名での参加となった。
さて、一般参加者、教職員を含めれば約80名のかつてない教室となった。
「どこからでも説明できるかがレベル」と課題にしている私には気合が入るシチュエーション・・・・
やったるぜ・・・
と思ったものの、う~ん・・・これは結構タフな状況であった。
写真のように前に小学生40名、後方には監督・コーチ、保護者さんに加え、教職員の皆さんまで・・・
ごちゃ混ぜである(笑)
どこに向かって話すか・・・
いくら選手対象とはいえ、夏休みのアニメ映画の引率の保護者ではないから、「なるほど、大学だから聞けた」という大人にウケル話もしないといけない。
とはいえ、子ども置き去りにするのも・・・
(小学生に「超回復」説明してる私もコントですな 笑)
ええい!ヤケクソだ!ランダムに行ったれ!
と下した決断は、子ども向けにドリフの「歯みがいたか!」的な話し方と後方の大人の皆さんに向けての講座的な話し方を混ぜ合わせて喋るという結論になった。
果たして・・・
熊取ベアーズの選手たちはよ~く指導されていて頑張って聞いてくれていた。
そして保護者の皆さんも温かい目で話を聞いてくれた。
内容は、トレーニングの原則の説明から、指導方法のコツなど私の考えてきたことを説明させてもらった。
ハイスピードカメラを使う指導方法の紹介がけっこうウケてよかった。
小学生に保護者さん・・・前日はプロ指導・・・
『どこからでも・・・』を目指して・・・
いい挑戦をさせてもらっている。