この休み期間、ある学生さんとの長電話のミーティングを何度もしている。
その学生さんは元プロ野球選手
現在、大学に入学し学士を取るために懸命に勉強している。
ゼミも始まり、「卒論」のために研究することになり、その相談である。
彼は、ジュニアの育成にも力を注いでいる。 http://www.tokyo-guts.jp/
てなわけで、研究テーマは「野球の指導」に関わることにしたいということであった。
勿論、私としても非常に興味深いテーマである。
彼は、打球の飛距離に関してはあの巨人にあってもトップクラスであった!実際に東京ドームの看板直撃のホームランも打っている!
で、それを子どもたちに伝えるために、日々活動している。
つまり、「伝えたいことは沢山持っている!」
が、しかし、これが研究(論文を書くという狭い意味の)になるかというと非常に厳しいのである。
ちょっとやりとりを紹介すると
(例1)
彼:「打球を飛ばすにはしなりが必要なんです!だからその指導方法の効果を見るというのどうでしょう?」
私:「う~ん、しなりってナンダ?どう定義すんの?それが出来てる、出来てないはどうやって判断すんの?」
(例2)
彼:「イップスの子どもたちの指導方法の効果を見るのはどうでしょう?」
私:「う~ん、本来できてたのにイップスになったのか? 元々下手くそなのかはどうやって判断すんの?」
(例3)
彼:「あるポイントを打撃指導をしたら打てるようになったかどうかを調べるってのはどうですか?」
私:「う~ん、何をもって打てるようになったと言うのよ?同じ球を打ってるとどう証明する?条件を整えないと比較できんぞ」
(例4)
彼:「じゃあアンケートを取って、強いチームと弱いチームの練習方法の違いを調査するってのはどうでしょう?」
私:「う~ん、強い弱いって色々な要素が満載だしな~いい練習したって選手いなきゃ勝てないこともあるだろうしな~その反対もあるだろうし・・・?」
こういうやり取りって、大学関係者なら「そういうもの」って思うでしょうが、一般の感覚ならほとんど「いじめられてる」って思いますよね・・・
でも、これ意地悪言ってるわけじゃないんですよ。
私だってイチイチ聞かなくたって、「あ~あの事言ってるんだな」ということは分かります。
しかも、1軍で活躍した選手の技術論なんだからこっちが金払ってでも聞きたい話です。
「野球人としてなら」
「現場と研究の壁」
実は現場では職人的な指導者がステキな指導をしていることが多い!
ただ、広めようとすると、客観性とか再現性とか突っ込みどころが満載なもので、さっきみたいなやり取りをしているうちに、
「ゴチャゴチャうるせ~な!だったらもういいよ!」ってな調子になってしまう。
ましてやスポーツは個性の世界だ、研究との相性はすこぶる悪い!
彼は言う「そんなことばっかり言ってたら研究なんてできないじゃないですか!」
だから私は言いました。
「そう言いたくなる気持ち、痛いほど分かる!俺もフテ腐った時期があった。ただ、このやり取りは必ず現場の指導に役立つよ!いかに今まで乱暴な物言いをしていたかがよ~く分かるから!」
実はこんなやり取りは、末續くんとも散々やったものだ・・・
現場と研究の融合!
現場で頑張っている人の上げ足とりみたいにならないで、且つ研究として多くの人との共通理解を得られるような取り組みをしていきたい。
ヤバイな~
デカイこと言っちゃったな・・・(汗)
(写真は試行錯誤しながら指導している私です。)