帝塚山大学で1年で早くもエースとして奮闘する卒業生の中西啓太くん(写真左)も参加していた。
大学野球部の選手がせっかくのオフなのに高校の練習に参加し、高校生よりも真剣にやっているとは・・・バカですね(笑)。
そういうワケで、彼の投球指導をした。
この時期にはプロの指導もちょいちょい入るのだが同じ投手の指導でも状況によって質は変わってくるというお話を少々・・・
「どんなこと教えてるの?」とは良く聞かれる質問なのだが、私の中では大きく分けて以下の2つのコースがあると思っている。
Aコース
『かつては出来ていたことが、現在できていない。』というような 『取り戻したい』ニーズである。
「良い時は150キロ出たのに、今は130キロだ」なんてやつである。
一方の Bコース
『まだやれたことがない』そもそも、高いレベルのプレーをしたことがない投手への指導。
例えば一度も140キロを投げたことがない。というような場合である。
Aコースの場合は、意外に簡単である。本人の中で「良かった時の感触」はあるので、あれやこれや指導した結果「あ!この感じです!」というのが見つかれば満足してもらえる。
ただし、かつての自分のプレーが戻れば、自分の中でゴールにたどり着いてしまった気になってしまうので、それ以上の飛躍が無いと言うか、
「ほんじゃありがとうございました~バイバイ~」と言う事になってしまうことも多い。
(ここから俺の話もあったんだけども・・・まぁいいか喜んでるし・・・というパターンが多い)
自分で思ってるベストプレーが本当の自己ベストなんだろうか・・・?
なんて疑問を持つ選手がいたら凄いのかもしれない・・・なんて思ったりもする。
さて、Bコースこっちはそもそもやれてない状況である。
こんな感覚で・・・などとゴタクを並べてみても、そもそも出来たことないんだから分からない。
いかに本人の感覚に響くような言葉や運動設定をするかどうかにかかってくる。
陸上なんかだとオーバースピードトレーニングと称して、坂道下り走をするなど、自力では出せないスピードを体感させるというようなことをやるが、発想としてはそういうものである。
じゃあその体験をピッチングではどのようにさせるか?いかに成功体験を積ませるか?
ピッチングでいえば本人が投げたことのない140キロの投球感触を味あわせるか?
そこに心血を注ぐことになる。
こういう指導は本人自体がゴールを持っていないだけに、方向性の見えないグダグダな指導になる可能性が圧倒的に高いが
本人の潜在能力とハマった時にはとんでもない飛躍がありえるのでギャンブラーとしては血の騒ぐ指導となる。
1球でも体験させることができれば、あとはその感触が習慣になるべく繰り返しである。
恐ろしいもので140キロ超える投手と130キロ未満の投手では、全く違うことをやっている。つまりカラクリがある。(見える形は一緒だが、内部感覚がまるで違う)
というワケでBコースの中西くんにそれを仕込んだ・・・
140キロを出す腕の振り方を体験させた。何のことはないコツの世界です。
果たして・・・
中西くんの感想・・・
「今まで組長に数多く教わってきた中で一番のヒットでした!」
と非常に素直な感想・・・さすが愛すべきバカである。
「コッ、このヤロウ・・・正直なやっちゃ(笑)」
でも、その通り(笑)
私もようやくこの説明の方法と体験ドリルを編み出したところだから・・・(笑)
中西くんの球質は大きく変わった!次のシーズンが楽しみだ!
ちなみに写真中央のニシ君のように手を後に回すのがラクな姿勢の人は肩の動きが柔らかく投手にすると面白いというのが私の経験則です。