先のセリーグクライマックスシリーズで「アベキラー」として大々的に取り上げられていた中日ドラゴンズ小林正投手が投球フォームチェックと、コンディショニングトレーニングのために本学に訪れ、学生の前でその技術を惜しげもなく披露してくれた!
アベ選手をキリキリ舞いさせたスライダーとカーブはキャッチャーを務めたニシくんも捕ることができない不思議なボールであった。
その変化球を間近で真後ろから学生は見ることができた。
学生は大喜びしていた。
さすが一流のプロだと感じたのはこうやって周囲に囲まれてもしっかりと魅せられる投球ができるということだ。
手作りマウンドで普段の環境とは違うのに特に不自由さを感じさせることなく淡々と投げていた。
聞けば、小林選手のテーマは、どんな環境でもそれなりの投球を安定してすることだという。
小林選手のようなリリーフ投手はまっさらな整備されたマウンドに上がることは無いので、必ず誰かのステップによって掘られているマウンドでの投球になる。
足の長い投手であったり短い投手であったり、右か左かでも掘られている位置は変わっている。
その位置が自分にとって好都合か不都合かはその時でなければ分からないので、マウンドに上がって行う投球練習の5球で合わせていかなければならない。
したがって、そういったことにいちいち神経質になっているようではダメだそうだ。
ただし、マウンドに登るまでのルーティーンは恐ろしいほどに細かいところまで徹底している。
なるほど、ピリピリしてこだわるのがプロフェッショナルのイメージであるが、自分でどうにもできないところまでピリピリしないという「割り切り」も重要なのだ。
小林選手と話をしていて思うのが、自分でどうにかなるものには神経を使い、
「やってみなければ分からないもの」に対してはやる前からピリピリしないというような割り切りがしっかりしている。
「負けたらどうしよう」などというような湿っぽさがない!
「準備してあとは頑張る」といったところだろうか。
また小林選手は貪欲に色々なところにアドバイスをもらいにいくのだが、感謝を言うことはあっても悪口などは一切ない。
どこの方針にもそれぞれの特色があり、その長所の組み合わせを模索しながらやっている。
「あくまでも組み合わせている主体(責任)は自分なのである」
「やると決めたのは自分である」というスタンスなのである。
これは、かなり難しいことで、つい自分の結果が出なかったりすると教えたコーチや指導者のせいにしたり欠点を指摘することで結局そこで出るはずの主たる成果を得られぬままに終わってしまうことはあまりにも多い。
「その指導者から教わるべき具体的内容」に集中できず、
「その人との相性やちょっとした不備などといった具体性の乏しいもの」
に固執してしまうことがなんと多いことか・・・
「その人から得られる恩恵に比べたら、そこがそんなにこだわるとこか?」
というケースが多い。(これは仕事でも言えることで自分で書いていて反省します・・・汗)
そういう意味で小林選手はどの人からのアドバイスも自分にとって有益な情報に加工し、取り入れる心得を持っている。
実際、本学の学生が作ったアジリティードリルにしても和気あいあいとこなし、「いい運動になりました~」と笑顔であった。
講義授業のゲストなどもこなしてくれ、90分2コマのお付き合いも嫌な顔一つせずにこなしてくれた。
こういうプロもナカナカいない。
うちの学生は皆ファンになった。
ちなみに、テレビでたまにブルペンの様子が映されることがあるが、あれは選手もブルペンにあるテレビで「分かっている」のだそうだ!(笑)
だから神妙な顔をしているが、後ろで待機している選手が映っている自分を見て足を組みかえたり、姿勢を変えたりして遊んでいるそうだ(笑)
ちょっと意識してみてみてください(笑)