和歌山のS高校の指導をする。
ついでに、この学校出身の大学3年生のN投手を指導した。
彼とは6年目の付き合いである。
一方で、右端の高校生は私の指導を受けるのは今日が2回目・・・
まだまだ「この人だれ?」というのが私への感情である。
実はこの大学生を指導する前に、高校生たちを指導していたのだが、どうにもノリが悪いというか、私とはソリが合わない感じがしていたのであまり深入りした指導はしなかった・・・
と言いたいところであったが、バッテリーを集めて説教してしまった(汗)
伝えたかったことは、投手も捕手もお互いに尊重して関係を大事にして欲しいということだ。
投手がナゲヤリに投げる球を受ける捕手は本当に悲しい。 お互いに尊重してこそバッテリーである。(ナカナカ現実はそうなりませんが)
さて、大学3年ともなり随分と立派になったN選手。 球もナカナカ速くなっていた。
そこで、高校生にもその投球と私が指導しているところを公開した。
自分への指導もつまらなそうに聞く高校生が果たして興味を持つのかどうか?そんな疑問も思ったが、私自身は、人が指導されているところを観るのは好きだったので試してみた。(怒られているところではありません)
結果的にこの企画は成功であった。
高校生の眼の色が変わっていた。 さっきまで自分に指導していた内容と同じことを、自分よりもはるかに速い球を投げている大学生が真剣に取り組んでいる姿勢は何かの刺激になっていたようだ。
その変化はその後の練習態度に如実に表れていた。
指導者と選手ってやっぱり選手の方が、「この人凄いな!」と思ってくれてこそ初めて効果があがるのであって、どんなに内容が合っていても選手のほうが疑っているような段階ではナカナカ効果が上がらない。
一昔前ならば、それこそ私が中学生だったころなんてプロ野球選手のお知り合いだというだけでも「オ~!すげえ!」となったもんだが、そこはなんと言ってもプロ野球を観ていない今時の選手たちである。
「俺はプロを指導している」などと言ったところで、それで即信用してくれるほど単純ではない(笑)
逆にいえば指導者の力がシンプルに試されるいい時代とも言える。
その辺がうちの学生にはチャンスだと思っている。
選手時代の実績が無ければ無いで勝負の場所とやり方はあるのではないかと思っている。
この日のピッチングの中で、とある「ピッチングあるある」について考えた。
それは「ラスト一球決めるぜ~」といってプレッシャーらしきものをかけて投げる球のことである。
中には「ヨッシャ!最後は二死満塁2-3だ!」とか言ってみたりして(笑)
多くの場合、ベストピッチで気持ちよく終わりたいと考えて、渾身のストレートを投げ込み、「バシッ!」っと決まって終わろうとする。
ところが、力んでちょいと質の悪い球となり、「もういっちょ」となり、それが続いてラストと言ってから10球以上投げるなんてことは、投手をやった人や捕手の人なら「それよくアルヨ~」というやつだと思う。
この日のN投手もそうなった。
これは一体なんだろうか?最後にいい球を投げようとして力んでフォームが崩れる・・・
私はこれは、最後の一球にベストピッチ、つまり100点満点の球を投げようと設定するからこうなるのではないかと思った。
最後に設定するのは、「よ~し最後だからできる限りの上限なしの思い切りを投げてやれ」ではなく、
「よし最後はキッチリ70点クオリティ-の球を投げよう(80点はダメ)」というように定点を設定して投げるという風にした方がいいのではないかと思う。 1点差で勝っている二死満塁カウント2-3に求められるのは、そういった冷静な投球ではないだろうか。
なんてな事だけでも、好きな人は好きな話だと思う(笑)
最後に、 福永祐一騎手が、とある対談番組で
「努力をしている人は、努力をしていない人には勝てるんですが・・・
努力をしている人でも楽しんでいる人には勝てないんですよ・・・」
これには痺れました・・・