kokokaramakuruの日記

野球 金魚 競輪少々 思いついたことをビビりながら書くブログ

こりゃおもしろい

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著者 森 毅 (ちくま文庫)「まちがったっていいじゃないか」

たまたま、別の本を探していてタイトルを見て、自己啓発本の類かと思って手にとってみたら・・・

いや~サイコ~、こういうのが欲しかった」と云う内容でありました。

もちろん、私にとってのサイコ~でありまして、学生さんに合うかどうかは微妙なところであります。

内容は、中学生に向けてという形で書いてありますが、なかなか内容が濃いです。
「まちがったっていいじゃないか?」というタイトルから勝手に想像する励まし本とはかなり違います(笑)

でも、私はとても元気をもらいました。

有名な京大の数学の学者さんなのですが、話の切り口が面白いです。

基本的には「無駄なく目的までまっしぐらなんてのが一番だめだ」なんていう感じかと思います。

「人間というものは、自分よりすぐれた人間からばかり教わろうとしていると、すぐにダメになる。自分よりもだめな人間からどれだけ学ぶことができるかで、成長するものである。これはすぐれた人間から学ぶよりずっと難しい。かなり高級なことだ」

「正義の名のもとで暴力をふるうのが一番かなわん」

などなど、ほとんどのページが愉しい。

そんな中で、私が一番、ニヤニヤしてしまったと共に、これまでの学生(旧組員)に対して「ワルイことしたな~」と思った点。

それは、『夢中』というものに対しての考察である。

「勉強のさまたげのようにいうこともあるが、一時期なにかに夢中になることは、たとえば受験にとってさえ、一時期に集中する訓練になる。」

「それは、かならずしも、持続しなくてよい。熱しやすく冷めやすい、というのは普通は悪いことのようにいう。しかし、ぼくの仲間の数学者を見ていると、案外にそうしたタイプが多い」

「なにかの問題を考え出すと、とりつかれたようになっている ところがしばらくするとケロッとしていたりする」

「それが真理への奉仕だなどと気負いがあるわけではない。ふと夢中になっている自分を冷めた目で見ることがあるすると、どうしてこんなに夢中になっているかと、
むしろ自分があほらしい。

それでもなお、やめるわけにいかないのが、夢中になっているときである。」

「なにかの役に立てようなどと、目的を持って夢中になるわけではない。目的が決まっているなら、その目的に応じた程度にやるもので、けっして夢中になったりはしない」

「むしろ、他人がみたら、いや本人自身から見てさえ、少しおかしいのではないか、ぐらいでよい大義名分から熱狂するわけではない」

 
う~ん、まさにズバリだとおもう。

「俺っておかしいんじゃないか?」とわりとマジメに考えていたので

ちょっと元気がでた。

私も突然、スイッチが入り周りが見えずに熱中してしまう。
野球の指導や、特に投手指導のときなんかは酷いもんである。

「あいつは好きだからな~」などと揶揄されて、それに腹立てているのに止まらない。


それから情けない学生を励ましているときなど見境がない。
(ただ、これに関しては私が情けないと思っていたら、実はけっこうしっかりしていて後で恥かいたことも多い)

それから、熱中しておいて飽きたときのギャップもひどい。

さらには、熱中しておきながらも「なんで俺はこんなことにムキになってるんだ?」と冷めてみている自分がいるところも笑えてしまった。

「手当ての出ないものほど燃える」というのも困った性格である(笑)
その性格はいいように利用されている。それはよ~く分かっているのだが、

・・・といって止められるかといえば、止めときゃいいのに止まらない。
じゃあ仕方ない。(笑)

逆に、「役に立つから」と言われてやることに全く燃えない(汗)




さて・・・ここからは反省

かつての学生(旧組員)たちには「夢中」を強要していたように思う。

これは、まったく間違っていた。

ワタシに言われてやるようなものを「夢中」とは言わないし
じゃあワタシのやっていることが「役に立つか」と言われりゃ、ほとんどは現時点では役に立たない(汗)

アンタのスポーツ指導についていったら業績になるか?

・・・といわれたら、スイマセン。負けてばかりでございます。


まぁ、幸いにもワタシの夢中ジャンルではない「高齢者への健康教室」のほうは、いかにも世の中に「役に立ち」そうでございますので、こちらは学生さんもついてきてくれるようになりました。ありがたいことです。


「夢中」は強要するものではない。

やっている本人もあほらしいと思いながらやっているものを、
あたかも「最近のやつは夢中がない。」などと考えるのはトンだ間違いであるということが分かっただけでも成長できた気がしたのでありました。




最後に


この本は約30年前に出た本です。

この本の主要テーマは
「現代の単純にこっちが正しい(優れている)、こっちが悪い(劣っている)をいう風潮は危険だ」というメッセージではないかと思いました。

その点でいけば現在はネットの普及のおかげで、様々な意見が飛び交う状況となっていますが・・・

様々な意見というと、両論併記のような気もしますが、
全くそんなことはなくメッセージを発信し続けることのできる人の論が強くなりやすく一方的な空気感に突っ走りやすい現代にこそ大事なメッセージがあると思いました。

みなさん、操作されやすいから・・・

学生さん、ちょっとおすすめです。

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これが一体なにになるというんだ!

でも、これが人の面白いところですな~