私にとってはよくある風景のこの写真ではあるが・・・
10年前なら同じ相手(この写真の人という意味)への指導でも
「今日も、野球好きの学生さんにキャッチボールの指導しました~」
・・・と書いて、読んでいる人からは
「のんびりしたことやってますな~ いい先生なようで」
と微笑ましい程度の話である。
しかし、
今となってはプロ野球チームのトレーナーさんで、
しかも阪神タイガースということで、
この人の頭の中にある相手は「藤浪」やら「藤川」だったりするわけで・・・・
となればちょっと違うか(笑)
まぁ、私がどうこうというわけではありませんが、
学生を育てる醍醐味の一つは、
その相手が別のステージで私の伝えた技術なりを使って、
その上で私ではできない体験を積んでくれて、
その土産話を聞いて、
それをネタにしてまた学生に伝えるという循環ができることであろうか・・・
しかし、こうしてまた大学のグラウンドで指導していると、
10年前を思い出す。
変わらない感じでつきあえるというのは、彼も成長しているのだと思う。
変わった学生って成長してると言えるのかな?
卒業したとたんにマトモっぽいこというのって多分止まっていると思う。
柔軟性が無くなっている。環境に飲まれているんだろうなと思う。
本人はマトモになっているつもりだろうが、
『のびしろが無くなったな』と感じることのほうが多いかな。
当たり障りのないツルツルした会話というか、
自分の考えや弱いところは出さなくなってくる。
まぁ、みんな一生懸命やっているんだな。
さて、この指導している相手はニイさんと言って、
私が11年前に大阪にやってきた時に一緒に入学してきた卒業生である。
ちなみにこのキャッチボールの相手は藤原くんといって、
これまた今年から阪神タイガースのトレーナーになることになっている。
しかも彼はサッカー部出身である。
考えたら二人とも私と違ってコツコツやるタイプでありました。
このように動画を撮影しながら説明します。
ちなみにこの写真は、
同じ職場のトレーナーのウチダ先生が撮影してくれました。
本当にありがたい。
私のコーチしている内容を見てずいぶんと面白がってくれました。
価値といいますのは、
自分で「これが大切なんだ!価値があるんだ!」と思っていても、
そりゃもちろん大事なのですが、
やはり誰かが「これは価値がある」と言ってもらわにゃ、
なかなか広がらないものでありまして、
気づいてもらえるまで粘ることができるかというのが勝負の分かれ目でございます。
そういう点じゃウチダ先生に面白がってもらえたというのは貴重なのであります。
なぜ、トレーナーのニイさんがキャッチボールを教わりに来たかというと、
野球の現場では、
トレーナーがキャッチボールの相手をすることはけっこう多いようでございます。
とくに本隊に入らないリハビリ組の相手をしているニイさんは
逆に多いのかもしれません。
上の写真でお気づきでしょうか?
左投げ用のキャッチャーミットを持っています。
自分で特注して作ったようであります。
プロ相手のキャッチボールはふつうのグローブではすぐに破れます。
何よりイタイ(笑)
ニイさんは学生時代から、
バッティングは目を見張るものがあるのですが、
キャッチボールを少々苦手としておりまして
それが元で高校で自分のやる野球は終了して
トレーナーを目指した経緯もありますが・・・
トレーナーならキャッチボールをしなくて済むかと思ったら、
プロのトレーナーに行ったらキャッチボールこそ大事になったようで(笑)
こうして、せっかくのオフなのに教わりにきたのであります。
まぁ、リハビリ組相手とはいえ
プロの投手のキャッチボールの相手って
80mくらいは投げますからね(汗)
「長い距離を投げてから、戻ってくるときが難しくて・・・トホホ」
というニイさんの嘆きには実感がこもっておりました(笑)
私にとっちゃ何が嬉しいって、
「ようやく意味(価値)が分ってくれる相手ができた」
ということであります。
なんか、うちの大学の学生さんって勘違いしていて、
私のことを
「生活指導」とか「道徳の先生」
みたいに思っているフシがあって
具体的なことを教えるとこまでいってないのがほとんどでして・・・
私なんてホントは
「も~、いいよ、そんなもん適当で」
と、一番言ってしまうタイプなのであります。
ただ、一応そこには「ただし」があって
「実力(魅力)あんなら」
というのがついてます。
だから
「実力ないほう(教わっている方)がそんな態度しちゃダメよ」
というのを伝えているだけなのです。(きびしいのかな)
まぁ私の場合、取り扱っている内容が、
相手が指導の実践をしてくれていないと話を聞いただけでは
「ふ~ん、だからなんなの」となってしまいがちな内容なのであります。
『自分で指導とかしてみてくれ、そうしたら言ってる意味わかるから。』
と言いたいところでありますが、
その指導といっても、
単にチームのアシスタントをしているくらいだと分らなくて、
ホントに選手にアテにされているプレッシャーというか
ヤリガイの中で指導していないと、必要性まで辿りつかないわけで・・・
・・・となると、そもそも本人が人としてアテにされているのか?
という、救いようのない壁がありまして・・・・
そうか・・・それで通じないのか・・・
そりゃそうだわな・・・
と11年経ってようやく気付いた次第であります。
ホンでもって諦めてたら、
こういう卒業生が来てようやく救われるという。
こうなると、「種蒔きしといてよかったな」ってなもんでして(笑)
ちなみに、こういう投球指導の世界があると実感してもらえれば、
ニイさんがチームに行って選手と接する時も変わってくるでしょうし、
アテにされるようになれば、土産話も内容が濃くなり、
それこそ投球指導方法の共同研究ができるなと。
これはかなり楽しみだぞ(笑)
あと、ニイさんが持ってきてくれた極上プリン。
プリンというのも、自分で買うと
「このレベルでおさえちゃう」ラインってありますけど
もらうととっても嬉しい。
「あ~種蒔きしといてよかった~」としみじみ思ったのでありました。