写真は内容と関係ありません。
私の授業の中で学生さんからの質問で、
「目上の人に対して失礼がなかったか気になってしまいます。どのようなことを気にしたらいいでしょうか?」
というのがあり、色々な意見があるとは思うが私なりの答えとしては、
その上の人に対して好意を持っていて、良かれと思ってやったけど、裏目に出てしまった場合というのは、相手だってそれは分るから、まぁ多少反省するにしても、それであんまりいつまでもグチグチ言われるようだったあんまり大した上じゃないのではないかと。
例えば、上の人と話をしていて嬉しすぎて言葉づかいが雑になったみたいなものは、上の方もかえって嬉しいというもので、それはむしろ「礼儀」なんじゃないか?くらいに思っている。
たまにここにコメントを入れてくれる学生さんがいるけど、それなんて生意気だろうが、変な文章だろうが、好意を持ってくれているだけでうれしい。
犬が好きな人は、とびかかってきて、服を汚されても嬉しいのは、それが「喜んでいる結果」と認識できるからだと思う。
一番の礼儀は「相手のことが好き」ということなんじゃないかと思う。
あんまり形式的な馬鹿丁寧な敬語ってかえって「警戒心のあらわれ」だったり、「あなたのことは嫌いです」と言っているようなものではないかと。
(ちなみに我々ロスジェネ世代は、自己防衛意識でガチガチになって他者と距離をとり、生活を守ってきたつもりの人が多いが、言葉は礼儀正しい風味でもやっていることは失礼という人はけっこう多い)
よく「ご指導ご鞭撻のほどよろしく」などと、『それを言っておけばいいだろう』くらいに言う人がいるけど「鞭撻(べんたつ)」ってムチ(鞭)でひっぱたいてくれ!という意味であり、それぐらいの厳しい指導を頂戴と言ったからということで、ホントに厳しくしたら「パワハラだ」なんて言う人が多そう。
ちなみに私は怖いからこの言葉は使わない(笑)
・・・と、それよりも以前から思っていたことだが、本来の意味がどうかは知らないが私が思うに
「礼儀」って上が下に強いて丁寧に接しさせるものではなくて、
『上が下に対して意識して丁寧に接する』ことなんじゃなかろうか?
例えば、上の人間が下の人間の意見に対して「下なのに生意気だ」とか、「俺(上)に分るように話をしろ」などとエラそうにしているのは、そういうのこそを『礼儀がなっていない』というべきなのではなかろうか?
よく「プレゼンが大事」などという風潮になっていて「仕事ができる奴は説明上手」などと煽っているけど、そんなもん真に受けて「相手の説明が悪いから私が理解できない、相手が悪い」などと言う人いるけど、そんな姿勢じゃどんどんと時代に置いていかれるなと。
もうすでに始まっているけど、若い方が『上の相手なんてしてられん』という風にどんどんとなっている。
上に立って優位にいるつもりで「俺にわかるように話せ」などと礼儀知らずにふんぞり返っていたら知らぬうちに、「あんたに言ってもわからんでしょ」と置いてけぼりにされる気がする。
このデジタル化でそのスピードはエライことになっている。(いいことばかりとは思わないけど)
この、上に対する礼儀を気にしてくれているような若者がまだ居てくれているうちに、下に対して礼儀正しくすることをやっておかねばという気持ちがある。
私の場合はこれまでも、なんとなくそんな気がして、上に対しては「まぁやるだけやって嫌われたら仕方ねえや、どうせこの先減ることはあっても増えることはあるまい」と思ってやってきていて、逆に下に対しては極力丁寧にしているつもりだったけど、意外にそのカンが当たっていたような気がする。
下に対する礼儀を怠ると情報が古くなりがちなのではないだろうか。
「じゃあ下にペコペコして迎合しろというのか!」と、イラついた人はもうセンスなし(笑)
まぁ、昔は上の人にペコペコしておけば引っ張ってもらえて出世できたとかあったのかもしれないけども、『そういうチカラを持った上の人』という概念がそもそも崩れてきている時代な気がする。
そもそも、そんな風に「上の人の機嫌をとって出世しよう」なんて輩はまず大したことないし、そんなのを可愛がっていられる余裕のある社会じゃ無くなってきている。
かつてはそれはそれで「上になる」ことへのイメージや憧れがあり、愛社精神につながったりして意味があったのだとは思うけど。
そういう意味じゃ本当に厳しい社会になってきていると思う。
(学生さんへ、君らの上司になるであろう我々世代は特にチカラがないからな 泣)
下に対する話の聞き方も知らないエラそうな上に、引っ張るチカラも無いとなったら、そらもう相手してられませんわね。
今、繁栄している会社の上の人なんかを見ると、下に対して礼儀正しい人が多そうだ。
巨人が落ちて阪神が浮いてきたのも監督のスタイルの差か?
などと無理やりにこじつけてみる(笑)
学生の礼儀に対する質問から、「こっちがエラそうに言ってる場合か?」となったというお話でありました。
思えば、今の若者は礼儀がなってない!などとエラそうにしていられた世代は、それはそれで下を引っ張っていくパワーがありましたものね。