先日、F尾くんがマジメな顔をして尋ねてきた・・・
聞けば、自分が可愛がっている母校の投手が見たこと無いフォームになってしまっていたという。
その選手に尋ねたところ、ある強豪私立高校出身の方に投げ方を教えてもらい実行しているのだという。
それを聞いたF尾くんは「じゃあ俺の指導ってなんなの・・・俺を信頼してるって言ってたじゃん・・・」と悲しくなってしまったという。
しかも、「センパ~イこの投げ方どうっすか~?」と明るく言われた日には・・・・
「アハハ・・・いいんじゃないの・・・・」と引きつった笑顔を浮かべるのが精一杯だったという。
こういう時、選手は満足しているだけに、感情的になって「それはヤメロ」などと言う事は泥沼を招く事が多いだけに忍耐力を必要とする。
それを聞いた私の感想・・
「フフッ・・・や~い!ザマ~みろ」 とホントに言いました(笑)
「なっ?今なら俺が今まで言ってた事わかるだろ?」と笑顔で突っ込む私・・・
「ホントにわかります・・・」と涙目で応えるF尾くん。
野球の世界では「何を教わったか?」よりも「誰が言ったか?」で説得力の重みが変わってしまう。 「元プロ野球選手」「元甲子園球児」「有名大学(野球の)」とかなんとかって肩書きでとりあえず「聞いてくれるか」どうかが決まってしまう面があることは否定できない。
今回、F尾くんは一種の失恋のようなショックがあったことであろう。
F尾くんは、私がこれまで、
「俺なんて指導してる時は恋愛と一緒だよ、24時間考えてるよ」なんて言ってたのを
「ホ~凄いですね~」なんて笑って聞いていたが、
「どうだ分かったかコノヤロー!笑える問題じゃね~だろ!」
私だってこれまで、「アイザワ?誰だそれ?甲子園行った時の奴か?なんだよ準硬かよ?実績の無い奴に教わってたってダメだ」なんて言われたり、選手自身からも「ホントですか~?」なんて疑われたりする中でやってきた。(今になって、「あの時は失礼しました~」なんて言われたりしますが仕方ない)
指導の技術や理論を構築していくには、選手とのナマナマしいやりとりが絶対に欠かせない!
自分が勉強して伝えた事をいとも簡単にけっぽられる経験をしてこそ挫折感を味わうことができ、次への挑戦課題がうかびあがる!
どこにもぶつけようのない苛立ちにどう立ち向かうか・・・
選手(時に周囲の人も含め)との、ヤケドするような摩擦の中でいかに自分の訴えを相手の心に響かせるか!
ハッキリ言って、これは学生には勝ち目の無い挑戦である。
しかし、そんな無理難題に学生のうちに挑んでこそ、『大学ってなんてステキ』って思える。
今思えば私は学生時代にそれを感じれたのが大ラッキーであったということになる。
どうも本学の学生は、『あんまり干渉しないのがカッコいい!』みたいなスタンスが主流なようだが、こんなんで勉強する気なんて出るのかな?といつも不思議に思う!
『トレーナーとコーチは違う』と言っちゃそれまでだが、『なんとしても選手に伝える!」というような変態的な集中を持ち込んでみて初めてぶち当たる壁がある!(『干渉しすぎちゃいけない』とか・・・汗)
『選手の前でカッコつけたい!』『経歴に負けない力をつけるぞ!』という願望がある以上、
こんなとこ(大学)でカッコつけてる場合じゃない!
この大学には武器が沢山ある。
指導はキレイじゃないし、スマートじゃない。
けどこんな面白いものはナカナカない。
ドロドロしてきたこれからのF尾くんが楽しみだ!
ようやく話が合うようになりそうだ!