6月15日
トレーナーを目指す女子学生(1年)と『ミーハーについて』話をした。
何の仕事でもそうだが、特に憧れで目指す仕事の入門時に浴びる洗礼のセリフとして『ミーハーじゃ務まらん!』というものがある。
これはこれで、そりゃそうだと理解できるのだが、学生さんへの言葉としてはもう一つ言葉足らずなのではないかといつも思っている。
つまり真意が伝わってないのではないか?ということだ。
真面目な学生さんが『ミーハーはイカン!』と聞くと・・・「あ~そういえば私はスポーツ選手(チーム)に憧れて目指したんだった・・・まさにミーハーだ・・・あ~私はダメなんだ・・」というパターンになりやすい。
私は、「トレーナーは大変なのよ!ハンパじゃ務まらないのよ!」という指導は「それ、ホントに効果あんのかな?」といつも疑問に思っている。
しっかりしてなきゃいけないは確かだが・・・。この感覚はどう伝えるべきか・・・
そこでこんな話をした。
それは、本学の事務員のMさんという元鴨川シーワールドで飼育員やアシカショーのトレーナーをしていた方から酒の席で聞いた話である。
私は水族館や動物園が大好きである。エサを買ってアシカやペンギンに直接あげるというやつは必ずやるほうである。
そうやってエサをあげながら、『将来は飼育員になりたいな~』なんて思ったものである。
皆さんは思いませんか?(笑)
私なんてすぐ感化されるもんで、行く先々でコロコロ「あれになりて~」と思ってました(汗)
バスの運転手とか電車の運転手なんてのも一番前で運転手を見ながら考えてウットリしてました。
これってミーハーと言えばミーハーですが、スタートってそんなもんじゃないですか?
それでいいんじゃないですかね?
Mさんから聞いたのは、飼育員さんの仕事の話でした。エサの管理や環境整備など、非常に仕事量は多いということでした。個体別にエサの中身や量も違うそうです。
アシカの顔も個体別に識別できるそうで、顔色悪いなんてのも分かるそうです(汗)
アシカにも、素直なやつとそうでないのがいたりとか性格がバラバラなんだそうです。誉めると伸びるのとか、安定感があるやつと無いやつがいたりとか・・・・ そんな面白すぎるネタの連発の席の中で、私はこんな話が印象に残りました。
それは、エサの管理の話です。アシカなどにあげる、アジやサバなどの魚は冷凍してあります。
動物にあげるためには、解凍作業があります。
その時間は、実に3時間かかるのだそうです。
ということは、朝の8時にエサをやりたいとすれば、早朝5時前には、冷凍庫から出さねばなりません。
てことは、その時間に冷凍庫に来れるように生活(4時起き)する必要があります。
これを、キビシ~と取るのか、「まぁ、そりゃそうだわな」と受け取るかは個人によると思うのですが、私はこの話を聞いて学生さんに伝えるべきは、この必要なことを具体的にすることではないのかな?と思ったんです。
「8時にエサやるためには、5時に冷凍庫から出さねばならないから、4時起きです」という具体的な必要なことを伝えればいいのではないかな?と思ったんです。
・・・で、「やる?」でいいんでないかと
滅多やたらに「大変なんだ!」などと不安を煽る必要ないのではないかと・・・
その上で、「それやりたい!」となればいいんじゃないのと・・・
要するに、自分の好きな時間に客として水族館に行って、飼育員が解凍したエサをあげたいのか?もしくは、自分が解凍からやって関わりたいのか?それが客なのか、仕事なのかの違いなのではないでしょうか?
最初はミーハーでいいじゃん!そりゃそうでしょ!
そしてそれがエスカレートして、どうせやんなら、解凍からやりたい!というのもミーハー道だろうし、もっと過激になったら、「俺がエサを釣ってくる」となって漁師になっちゃったりして(笑)、そしたらもっと早起きだけど(汗)
そうやって面白い人生になっちゃってる人が多いんじゃないでしょうか?
そんな話をしたら、その学生さん・・・顔がみるみる内に明るくなって「ありがとうございます!スッキリしました!ミーハーはダメだと言われている意味を間違えてました!」ってなりました。
無用な脅しをやめて必要なことを伝える、それで生き返る学生さんが多い気がします。
『世の中厳しいんだ!』なんてセリフは言わない大人になりたいです。
こんな自分でも生きてますしね・・・(汗)