「ヌヌッ!この少年、カラダは小さいがやりよるな」
などと思いながら見ております・・・
「この少年もいいではないか・・・さて、どこを突っ込んだらいいやら」
・・・てなことを考えている顔です。
え~と、今回は、とある中学生クラブチームの体験会のゲストコーチという依頼がありまして学生を引き連れて行ってまいりました。
「大学の先生ならではの科学的な指導をお願いします」
という全く科学的でない依頼を受けまして・・・(笑)
まぁ、こういう時の王道のパターンというのがワタシにはありまして・・・
対象となったのは、中学チームの体験会ということで、
これから入部を検討している小学6年生と保護者の皆さんであります。
要するに、
「このチームに入ればこんな人にも指導してもらえる機会があるぞ!」
というストーリーなのであります。
・・・・
考えてみたら、
これって結構、責任重大であります(笑)
そもそも「こんな人に教わりたくない」となれば終了でございます。
まぁ、最近は大学でも仕事としてこれに似たようなこと・・・・
いや、これそのものをやっておりますので
(しかも自分はやっていない柔道整復師をアピールするという)
その辺の呼吸は分かっております。
しかも野球ですから、
水を得た魚・・・といって
調子にのると大きな落とし穴がありますのを散々経験してますのでそこは慎重にやってきました。
科学的というからには、
相手にも理解できる根拠を作るということですね・・・
というわけで、動画撮影・・・ハイスピード(スローモーション)も撮影してます。
ほんでもって、動画を一緒に観ながら個人指導。
自分の動画で説明されれば、納得もしやすいのかなと・・・
ちなみにこの少年はナカナカのよい選手でありました。
特にヘタクソというような欠点もなくやれてるといえばやれてるハズなのですけども・・・
ちょっと肘が下がっているのが気になったので
映像はピッチングという設定にしましたが、
ショートをやっているというから
「これって一塁への送球がシュートしてないかい?」
と言ったら
「そうなんです!分かりますか!」
とお父さんと一緒に驚いてくれて、そのあとの話は聞いてもらいやすかったです。
こういうのは大事です、見ずに当てないと。
ちなみにワタシは、雨天や室内などで投げることすらできない条件となると、
カラダを触ってフォームのクセを当てるという荒業もあります(笑)
さて・・・ちょいと内容
※以下は動きの説明なくせに文字バカリになります。投球を考えたことのある人はイメージできますが、やったことない人にはチンプンカンプンです。次の写真までスキップしてもらってかまいません。野球に絡みたいトレーナー志望の方はこの文章が理解できるくらいにしてはいかが?
肘が下がっているというのは、
全体の動きの中でのタイミングの問題です。
連続写真なんかを撮ると大抵は「肘は上がっています」だから
「あり?写真でみると下がってないな?」となりますが、
そういうことではないのです。
「この瞬間にこの位置にないとマズイ」というのがあるのです。
そして、近い距離を投げる時でも肘が下がってしまう場合ならば、
根本的な投げ方の改善指導が必要ですが、
近い距離ならば肘が上がっていて、
遠い距離
例えばショートが定位置より左からの一塁送球や、
キャッチャーの2塁への送球などの時に肘が下がるのは本人の
『送球の距離』に対する
「遠い距離へ投げる」ことへの過剰な意識から来るものですので
「肘を上げろ」という指導よりは、近い距離に的(マト)を想定して投げろ!
というアドバイスが具体的で有効かと思ってます。
例えば、キャッチャーのセカンド送球ならばセカンドベースを見るのではなく、
ピッチャーの胸に強い球を投げろ!というような感じです。
特に小学生の場合は、ベースへの到達を目標にして肘が下がる傾向があるように思います。
ただこれは肘が下がるというよりは「カラダが早く開く」ことからくる問題なのですけども・・・・
なぜ肘が下がって、カラダを開くかというと、その方が「投げている実感」が強くなるからもあります。
カラダが早く開いて肘が上がる前に投げれば、
カラダに感じる負担感は大きくなります。
ちょうど「腕立て伏せの深い位置」みたいなものです。支えている体重は一緒なのに、深い方がキツイのは力が出ているからではなく、
力が出しにくい位置だからです。
・・・・
イカン、一人目をチョロッと書いたらもうこんな字数に・・・まだまだ書けるがこの辺で
このジャンルはワタシが多くの人生の時間を費やしたところなのでついつい・・・
けっこう多かったのが・・・
問題 これのいったいどこが?
野球に興味のある人はここで止めてちょっと考えて見てください。
ちなみにユニフォームの着こなしからしてセンスを感じる少年であります。
正解は
ボールの握りです。
親指の位置がボールの横に来てしまっています。
これですと、手の平でボールを持っていることになりずっと力が入ってしまいます。
そして、指にかけて投げるのではなく、手の平で押し出すような投げ方になります。
これで力が強くなってくると肘を故障します。
肘の故障がボールの握り方から来ていることは多いです。
今回のチームはソフトボールチームからの選手も多かったようで、こういう握り方の選手が多かったです。
ちなみにこれはすぐに直せます。
知っているか知らないかだけの問題です。
かつての学生でこれを教えて泣いた学生がいました。
『これを中学で知っていれば・・・』と
その学生は、肘の故障で手術をするほどで、選手を諦めてうちの大学に来た学生でした。
「この指をなこっちに持ってきてな、そんでもってこことここでハサンんでな・・・」ってな調子でやっております。
「そんでもって、ここでガッとかけてビュッと行くんだ!」(どこが科学的 笑)
・・・と、指先に力が加わっていることを表現しようとして、
白目をむいてやっておりますが、
少年は肝心のワタシの手先を見ておりません(笑)
「この人はいったいなんなんだろうか?」と感心しているような顔してますな(笑)
こういう状況っていったい何が伝わっているのでありましょうか?(笑)
こういう出会いの思い出ってけっこう強烈に残っていることあるから怖いです。
醍醐味でもあるけど
野球はコミュニケーションです。
見るからに、気の優しそうな少年であります。(笑)
「あんまり自信がありません」ってな調子でありましたから、
『ヨシ、ちょっとこうやってみろ!さすれば道は開ける!』
とばかりに実技指導。
こういう時のためにネタというか理論のストックが重要なわけであります。
こういう少年こそ精神論じゃ救えません。
具体的なネタが無いと。
・・・という上で
「まぁ、自信なんてなきゃ無いでかまやしないんだから、
中途半端に自信があるヤツが鼻をへし折られてイジケた時のほうがメンドクサイんだから気にスンナ。君はそのままコツコツやってりゃ必ずうまくなるから」
なんてなことを言っている顔であります。
技術指導の上での精神論であります(言ってるじゃんと 笑)
ワタシとして危ないのはこういう時に
「俺がついてるから頑張ろう」
などと口が滑りそうになることであります。
こういうのに弱いワタシです(笑)
最後に、家庭でできる筋トレを一ネタということで
股関節に下敷きハサミのスクワット
股関節に下敷きを挟むようにスクワットをします。
下っ腹と太ももの前の上部で挟みます。
上の写真のように膝が出ているとまず挟めません。乗せているだけになります。
洋式トイレで前屈して新聞を読んでいるときの股関節の折り畳み具合です。
この感覚は野球の中で非常に重要でございます。
幸いに、冬季オリンピック真っ盛りでございまして
「スキーのジャンプや、スピードスケートの感じだ!」
という表現が非常に理解してもらいやすかったです。
「どうだ~俺の下敷きを取ってみやがれ~」
・・・と言って、あっさり取られているワタシでありました。
「お前な~そんなに強く引っ張んなよ、俺の立場がね~だろ」
などと言って保護者の皆さんに聞こえないように集めている小学生の笑いを取ったりしておりました。
さて・・・
チームのお役に立てたかどうか・・・
野球を続けてくれたらいいのですが・・・
これ結構ドキドキするな~
長文失礼しました。