青春真っ盛りの男子高校生が男同士で、抱きしめ合い、もつれ合うこの光景・・・
1月22日 関西医療大学で星林高校野球部のトレーニングを行いました。
私自身、バーベルやマシンを使う筋力トレーニングには大変興味がありその効果も信じてやっているのですが、今回はちょっと趣向を変えて器具は使わない、パートナー密着型のトレーニングを行いました。
柔道経験の方なら、「あ~こういうのよくやったわ~」てなもんだと思います。
写真はおんぶをした状態から、乗っている人が背中から正面、また背中へと『落ちないように5周しろ!』という課題に取り組んでいるところです。
こんなトレーニングも結構好きです。
通常の筋トレでは鍛えきれないバランス能力や四肢の協調性(手足を上手く使う能力)が付きます。人の体にしがみつくのは、手すりがあるわけではありませんから結構キツイんです。
また、しがみつかれている方が、グラグラしないように直立しているのも、いいトレーニングとなります。
でも、キツさとは別に人に抱きついたり、抱きつかれたりするのは結構楽しいものでもありますね(笑)落っこちて痛そうな選手もケラケラ笑って再チャレンジしてました。
こうやって楽しくやっていると、例えばスクワット姿勢で崩れて猫背になってしまうような危険な姿勢になっても柔軟な対応をするもので、むしろそこがいいトレーニングになってる気がします。
例え普段は、仲が悪かったとしても、こんだけ必死に抱きついてたら仲良くなってしまいます(仲良しを通り超す可能性もありますが 笑)
チームワークに難があるとお嘆きの監督さんは試してみてはいかがでしょうか?(笑)
私はこのようなトレーニングの際に、失敗した回数もトレーニングの回数として位置づけています。
このトレーニングで言えば、「落ちないで5回、まわれ」という課題を出しましたが、この5回という数字はいわゆる「ベンチプレスをこの重さで〇回挙げろ」という場合の〇回とは違うということです。
できない事をできるようになろうとトライする回数が〇回という数字に当たる。という感覚です。
しかし、今回、見本や指示係を指名された学生にしてみれば早くできるようにして5回やらせねば!
と最初に全て説明しようとしてしまうので、なんだかRPG(ロールプレイングゲーム)を攻略本と一緒に購入して、「クリアしたのはいいけど、なんだか盛り上がりに欠ける」みたいな状態になりがちなんです。
そうじゃなくて、まずは細かい説明せずにサラッと見本を見せて選手に「簡単そうじゃねえか」と思わせ、やってみたら「ありゃ?できない?なんで?」という状態を作ったところで「ここを見ろよ」などと言いながらヒントを小出しにしていく。
そしてまた、新たな挑戦心を持ってトライする。
そうやって新鮮な気持ちでトライする回数こそがトレーニングの回数と位置付けると、指導していておおらかな気持ちになれるものなんです。
実際、必死にしがみついているのに落っこちるなんてのは、筋力アップに非常に有効とされるエキセントリック(伸張性収縮)な刺激がバッチリかかっているということなので、筋力アップを目的としているトレーニングとしては狙い通りなんです。
だから、私が
『最初にコツまで全部喋ったらすぐに出来ちゃうだろうが!』
などというものだから、すぐに出来るようにすることが目的だと思ってリハーサルしていた学生は驚いた様子でした(笑)
勿論、危険に対する配慮など、最初に伝えておかなければいけない事もありますし、正しいフォームの習得などというような性質のトレーニングにおいてはこれは当てはまらないと思います。
こういうトレーニングをやってみますと、昔の遊びってこういう要素が沢山あったのだろうな~と思います。
よく、昔の人が「俺はトレーニングなんてした事ねえぞ」なんて言いますが、こんな事を夢中になってやってたら「そりゃ~どんな科学的トレーニングより効果あったんじゃないかな~?」なんて思います。